時計 2021/03/25 10:40

天国の中3、笑顔の“卒業” 式場にモザイク画、同級生「一マス一マス、楽しい思い出に色付けた」

みちるさんの同級生が製作したモザイク画を手にする北村美希さん=22日、鹿児島市郡元2丁目
みちるさんの同級生が製作したモザイク画を手にする北村美希さん=22日、鹿児島市郡元2丁目
 高校進学を夢見ながら、昨秋、15歳で他界した少女がいた。鹿児島市立鴨池中学校の北村みちるさん(同市郡元2丁目)。がんと闘いながらも笑顔を絶やさず、勉強とスポーツ、音楽に励む姿は同級生を勇気づけた。16日の卒業式、式典に招待された母美希さん(40)に、同級生が作った笑顔のみちるさんのモザイク画がプレゼントされた。

 みちるさんは小さな頃から活発だった。得意にしていたのは剣道とピアノ。小学6年の2017年7月には、日本武道館(東京)であった剣道の全国大会に出場した。

 観客席から見守った美希さんは、右足を少し引きずるように歩く娘の姿に気付いた。「本人は『大丈夫』と言っていたけど、病院で診てもらった方がよさそう」。お盆が明け、検査で骨肉腫と診断された。

 抗がん剤治療、右脚の切断、リハビリ-。中学入学後もつらい闘病生活が続いた。だが、みちるさんは笑顔を絶やさなかった。義足に慣れると松葉づえなしで歩けるように。2年の冬にはパラ陸上にも挑戦した。

 ピアノのペダルは左足で操作した。20年1月、クラスメートと出場した県中学校音楽コンクール「春の祭典」で金賞を獲得。指揮者を務めた日髙聡太さんは「納得するまでやめない頑張り屋。本番で緊張がほぐれたのは、みちるさんのピアノのおかげだ」。

 3カ月後の昨春、肺に転移し切除したがんの再発が分かった。医師の宣告は余命3カ月。「あんな状態でいつ勉強していたのだろう。その春の模擬試験は志望校A判定だった。そこまで憧れていた高校生にしてあげられなかった」。美希さんにとって、みちるさんが息を引き取った9月からの半年は「世界から色が失われたようだった」。

 この春、美希さんは担任の教諭らから声を掛けられた。「同級生が『みちるさんと卒業する』と言っています。いらっしゃいませんか」

 卒業証書授与、みちるさんの代理として壇上に上がった日髙さんの手には、遺影と笑顔のモザイク画があった。同級生14人が3週間掛けて仕上げた作品だ。仲良しだったという女子生徒は「みちるは好きなものに一直線。楽しかった一緒の時間を思い出し、一マス一マス色を付けた」と振り返る。

 「学校でも笑顔でいられたんだ」。モザイク画を見る度、美希さんは娘を気遣ってくれた学校や同級生への感謝で胸がいっぱいになる。そして、多くの人の心に息づく娘に勇気をもらっている。