時計 2021/04/15 00:30

地震240回超、悪石島の住民「常に揺れている錯覚。気が休まらず、ストレスたまる」 トカラ列島地震ルポ

ヘルメットを着用して下校する児童ら=十島村の悪石島小中学校
ヘルメットを着用して下校する児童ら=十島村の悪石島小中学校
 9日深夜から地震が続くトカラ列島。震度4を5回観測した十島村悪石島に14日午前、村営船で入った。家屋や公共施設に被害はないものの、昼夜を問わず頻発する揺れに住民は疲れを隠せない。早期の終息を願いつつ、大きな地震を警戒する緊張の日々を過ごしている。

 13日深夜、鹿児島市の鹿児島港で村営船「としま2」に乗り込み、波に約11時間揺られて悪石島に到着した。出迎えてくれた住民の案内で高台の集落に向かった。

 桜島の10分の1ほどの島は山がちな地形で、港周辺を除いて平らな道は少ない。急坂が多く、歩くというより壁を登っている感覚だ。ここで強い揺れに見舞われたら、体を支えられないだろう。

 高台の公民館で取材中だった午後1時53分ごろ。急に窓がきしみ、建物が「ガタガタ」と音を立てる揺れが数秒続いた。地震が頻発していると頭では分かっていたが、動揺して体が固まった。とっさに避難の態勢を取るのは容易ではない。震度3と後で知ったが、数字以上に強い揺れだと実感した。

 トカラ近海では震度4をはじめ、体に感じる地震が240回を超えた。民宿を経営する坂元勇さん(55)は「地震の回数が多すぎて、常に揺れているような錯覚に陥る。気が休まらず、ストレスがたまる」と嘆く。

 漁師の有川誠司さん(67)は津波を警戒し、地震が頻発した10日から出漁を見合わせている。終息を冷静に待っているようだ。

 持ち込んだミニバイクで島内を回ると、山間部の山肌は風雨で風化し、数メートル大の岩があちこちにあった。21年前の2000年は、震度5強や5弱の地震で建物被害や落石が相次いだ。これ以上、大きな揺れが起きないことを望むばかりだ。

 悪石島小中学校の児童生徒9人は地震の発生以来、登下校時にヘルメットを着けていた。中学3年の三田凌也さん(14)は「毎日よく眠れない。ようやく地震の回数が減ってきたので、このまま終わってほしい」と願った。