時計 2021/05/04 23:00

鹿児島焼酎 家飲みに活路 好調な紙パック、ペット入り水割り投入や「糖質・プリン体ゼロ」PR コロナで業務用打撃受け

味わいの特長やお勧めの飲み方を紹介する蔵人。様子はユーチューブで生配信された=いちき串木野市の浜田酒造
味わいの特長やお勧めの飲み方を紹介する蔵人。様子はユーチューブで生配信された=いちき串木野市の浜田酒造
 嗜好しこう品の多様化や若者の酒離れで消費が伸び悩んでいた本格焼酎に、新型コロナウイルスが追い打ちをかけている。会食の自粛や飲食店の時間短縮営業などで業務用を中心に売り上げが低迷。鹿児島県内の各メーカーは巣ごもり消費の伸びをにらみ、家飲み需要に活路を見いだしている。

 「かんぱーい」。歌手の西田あいさんの音頭で、画面に映る参加者がそれぞれグラスを掲げた。4月24日、浜田酒造(いちき串木野市)はオンライン形式で2年ぶりの蔵祭を開催。事前募集した県内外の約20人と蔵をビデオ会議システムでつなぎ、ユーチューブでも生配信した。

 バーチャル蔵見学やテイスティング講座などにぎやかに進み、再生回数は約2260回に上った。企画担当の大脇野乃花さん(29)は「リアルなイベントがほとんど開けない中、オンラインは重要なPRツール」と話す。

■時短・休業でしわ寄せ

 この1年余り、新型コロナによる飲食店の時間短縮営業や休業要請が相次ぎ、会食の自粛も続く。総務省の家計調査によると、2020年の飲酒代(2人以上世帯)は9405円と前年比52%減となり、酒類にもしわ寄せが来ている。

 県酒造組合のまとめでは、20年の県産本格焼酎の出荷量(アルコール度数25%換算)は前年から4.2%減り、9万4284キロリットルだった。特に最初の緊急事態宣言が出た昨年4~5月は前年比1割強のマイナス。10月ごろは消費増税で落ち込んだ前年の反動でやや持ち直したが、業務用の落ち込みは続いている。

 4月25日には3度目の緊急事態宣言が4都府県に出され、酒を提供する飲食店は休業とされた。同組合の浜田雄一郎会長=浜田酒造=は「非常に厳しい状況だが、需要はテークアウトや家飲みに向かっている。蔵の情報を消費者にじかに届ける取り組みが必要だ」。

■若者にターゲット

 外食が激減する一方、巣ごもり消費は伸びている。焼酎も、外食以外での20年支出額は6615円と前年から約1割増えた(総務省家計調査)。

 特に紙パック焼酎の売れ行きが好調だ。酒類卸の南九州酒販(鹿児島市)は昨年、紙パックの売上高が瓶を逆転した。業務用の売り上げ減をカバーするほどではないが、竹下幸男常務は「軽く、ごみ処理も楽な点が受けている」とみる。今後は健康意識の高まりを受け、「糖質・プリン体ゼロ」という機能性を打ち出した売り方も強化する。

 長島研醸(長島町)はアルコール度数8%の水割り芋焼酎を4月に発売。ペットボトル入りで、開栓してそのまま飲める手軽さが売り。焼酎になじみの薄い若者を取り込み、需要拡大を狙う。宮田忠孝総務部長(67)は「いかに焼酎に目を向けてもらえるか地道に努力したい」と前を向く。