時計 2021/05/08 12:00

現実味増す通常医療へのしわ寄せ 沖永良部島は既に影響 新型コロナ・感染急増の鹿児島

 鹿児島県内で新型コロナウイルス感染者が急増し、医療機関への負荷が増している。大型連休中の移動や接触機会の増加により、今後さらに感染者が増えるとも予想され、若者の重症化が多い変異株の割合も増加。現場からは「通常診療に支障が出る」と懸念の声が上がる。

 重症患者を中心に受け入れている鹿児島市立病院。坪内博仁院長(73)は「感染者が増えれば重症者も増える。変異株の影響か、宿泊療養ではなく入院する割合も高い」と指摘する。病床確保に懸念を示し「各病院が示している受け入れ可能数のうち、すぐに入れる病床数を再度確認し、確保を急ぐべきだ」と訴える。

 感染者向け病床を増やしても医療従事者の数は急には増やせない。コロナ患者には人手がかかるため、通常医療にしわ寄せが及ぶ。

 鹿児島医療センター(鹿児島市)ではコロナ用に確保した11床が6日に満床となった。同センターは心臓疾患などの治療がメインで手術も多い。コロナ患者を担当する森内昭博医師(51)は「コロナ以外にも緊急性の高い患者は多く、本来の役割を果たせなくなる」と話す。

 医療体制のぜい弱な離島では既に影響が出ている。知名町では1日にクラスター(感染者集団)が確認され、沖永良部島唯一の病院のコロナ病床は満床に。一般外来は救急対応に制限された。

 県によると、知名町のほか奄美市で確認されたクラスターにより、県本土への患者搬送は5月3~7日で24人となった。搬送に使う海上保安庁の航空機などは一度に運ぶ人数が限られる。同町の成美保昭保健福祉課長(54)は「大雨や台風が重なったらどうなるか」と危機感を募らせる。

 鹿児島大学の西順一郎教授(61)=微生物学=は「今の状況で医療機関や福祉施設でクラスターが発生すると、医療現場が逼迫(ひっぱく)するのは目に見えている。医療従事者の健康管理と発症者の早期発見・早期対応が改めて重要だ」と語った。
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