旧日本海軍の要衝・大島海峡に残る遺跡の機能、構造明らかに 震洋隊基地、砲台など6カ所測量、発掘 瀬戸内町が報告書

 2022/06/19 21:00
手安弾薬本庫の内部=瀬戸内町手安
手安弾薬本庫の内部=瀬戸内町手安
 鹿児島県瀬戸内町教育委員会は、明治から昭和期の旧日本陸軍「奄美大島要塞(ようさい)」と海軍「大島防備隊基地」の施設跡計206カ所のうち、大島海峡一帯6カ所の調査報告書「瀬戸内町内の遺跡3」を刊行した。機能や規模、構造を詳細に示し、重要な戦略拠点と位置づけた。歴史的な価値を再認識し、戦争の記録を次世代に伝える狙い。

 国史跡指定に向けた活動の一環。(1)佐世保海軍軍需部大島支庫(久慈)(2)西古見砲台(西古見)(3)安脚場砲台(安脚場)(4)手安弾薬本庫(手安)(5)第18震洋隊基地(呑之浦)(6)大島防備隊本部(瀬相)-の6施設跡を対象とした。

 町は2017年度、有識者5人でつくる近代遺産調査検討委員会を立ち上げた。文化庁の補助事業を活用し21年度までの5年間、ドローンや地上・地中レーダーなどを使った測量、発掘を重ねてきた。

 A4判264ページ。現状や、米軍による武装解除時の様子を収めた米国立公文書館所蔵の写真、防衛研究所(東京)所蔵の竣工(しゅんこう)報告図、測量や発掘調査に基づく平面・立面・断面図を多数載せた。日本近代史や戦史の専門家の解説もあり、施設ができた時代背景を知る一助になっている。

 社会教育課の鼎(かなえ)丈太郎さんは「遺跡を通して近現代史を学べ、日本を取り巻く国際情勢も読み解ける。多くの人に読んでほしい」と話した。役場や図書館・郷土館などで閲覧できる。同課=0997(76)3004。

■大島海峡 奄美大島と加計麻島に挟まれた幅2キロ、延長20キロ。リアス海岸。波は穏やかで水深50~70メートルと深く、大型船が寄港できる。荒天時は避難場所になる天然の良港。明治期以降、日本本土と沖縄や台湾、大陸を結ぶ要衝として、旧日本海軍艦艇の停泊地、補給基地だった。