復員兵が残した知覧の写真「富屋食堂」へ 半世紀前に撮影、特攻の母・鳥浜トメさんや出撃隊員が泊まった旅館など40点

 2022/09/03 17:20
太原久雄さんの写真を寄贈した若宮耕三さん(左)と鳥浜拳大館長=30日、南九州市知覧の「ホタル館 富屋食堂」
太原久雄さんの写真を寄贈した若宮耕三さん(左)と鳥浜拳大館長=30日、南九州市知覧の「ホタル館 富屋食堂」
 鹿児島県日置市吹上の若宮耕三さん(80)が8月30日、街並みスケッチなどで知られた鹿児島市の画家・故太原久雄さんが50年以上前に撮影した富屋食堂など昭和の知覧の写真を、南九州市知覧の「ホタル館 富屋食堂」に寄贈した。鳥浜拳大館長(30)は「現存しない建物がたくさん写っており貴重」と感謝した。

 太原さん(2015年に91歳で死去)が1970(昭和45)年に鹿児島市で開いた写真展「特攻基地~知覧編」の40枚。同食堂関連は当時の内部の様子などが説明付きで7枚あり、鳥浜館長の曽祖母で「特攻の母」として知られる鳥浜トメさんも写っている。出撃前の特攻隊員らが泊まった内村旅館や永久旅館、旧南薩鉄道知覧駅などもある。

 若宮さんと太原さんの家は終戦直後、鹿児島市清水町で隣同士だった。教員だった若宮さんは退職後、復員兵だった太原さんと共に知覧や鹿屋といった特攻隊に関係する場所を巡るなど交流があり、太原さんの遺族から写真や著書を贈られていた。「ふさわしい場所に収まり、太原さんも喜んでいるはず」と若宮さん。太原さんの妻・敦子さん(86)は「夫の作品が何かの役に立てればうれしい」と話した。

 鳥浜館長は「建物も人の記憶も風化する。より充実した資料館にするためにも提供はありがたい」と語った。同館=0993(58)7566。