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運賃値上げでも客足戻らず 種子屋久高速船 燃油高、船の老朽化… 経営改善見通せず

 2021/12/02 22:00
通院や買い物に多くの島民が利用する種子屋久高速船=2日、鹿児島市本港新町
通院や買い物に多くの島民が利用する種子屋久高速船=2日、鹿児島市本港新町
 鹿児島市と種子島、屋久島を結ぶジェットフォイルを運航する種子屋久高速船(鹿児島市)が、7月に運賃を値上げして5カ月。増収効果は表れているものの、乗客は新型コロナウイルス禍以前の水準に戻らず、経営改善は見通せない。燃油高騰や、老朽化が進む船の更新も課題となっている。

 同社の2021年9月期決算は、利用者が前期比14%減の38万人にとどまり、赤字が過去最大の8億円(前期は2億円)となった。コロナ前の19年9月期は71万人、売上高は40億円台に上っていたのに比べ、20億円の減収という。

 コロナ感染者数が減少した今年10、11月の乗客は前年比9割ほど。売り上げは、運賃2割上げが奏功し前年並みを維持した。しかし、コロナ前と比べると乗客は7割、売り上げも8割止まり。今後の見通しについて、市丸隆二郎社長は「値上げで一定の収支改善は図られるものの、利益まではとても見込めない」と頭を抱える。

■コスト増

 原油高騰に伴う燃料代の高止まりも痛手だ。同社が調達する軽油は、1年前と比べ1リットル当たり20円以上値上がり。上昇分を運賃に転嫁する調整金(バンカーサーチャージ)を12月から引き上げた。調整金でコスト増を全て吸収できるわけではなく、度重なる値上げで利用者離れの懸念もある。

 種子・屋久の住民にとって、鹿児島市との日帰りが可能な高速船は通院や買い物に欠かせない移動手段。2日、同市南ふ頭のターミナルにいた屋久島町の自営業男性(30)は「燃料代の転嫁はしょうがない。(経営難となり)航路がなくなる方が困る」と話した。

■共有建造

 6隻体制のジェットフォイルは、船齢43~26年と老朽化が進む。年々維持・補修費がかさみ経営を圧迫。新船への更新が差し迫った問題だが、1隻30億~50億円と高額だ。

 同社は「赤字では金融機関の融資は望めない」として、国が所管する鉄道建設・運輸施設整備支援機構の「共有建造制度」の活用を視野に入れる。共有建造は、機構と運航事業者が共同で船を造る仕組み。機構が資金を供給し、事業者が一定期間使用料を支払う。

 離島航路の場合は、自治体の「支援確約書」が必要となる。仮に事業者が支払いに行き詰まる恐れがある際は、自治体が補助金等を出すことが想定されている。昨年、伊豆諸島航路の東海汽船(東京)は同制度を使い、国内で25年ぶりにジェットフォイルを新造。建造費は51億円に上り、都も45%補助した。

 種子屋久高速船の清藤薫取締役は「コロナの状況によるが、今後1、2年中の発注を目指したい」と、県に制度利用への協力を求める考えを示した。