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時短に応じても、弁当を始めても「コロナ前には戻れない」 そして物価高が追い打ちに…現場の苦境、政治は見えてますか?

 2022/07/03 08:23
予約表を見る濱川剛店主=6月30日、鹿児島市荒田2丁目
予約表を見る濱川剛店主=6月30日、鹿児島市荒田2丁目
 「全てが悪循環」。鹿児島市荒田2丁目で居酒屋「彩こう」を営む濱川剛さん(46)は予約表を見てため息をついた。2、3人の小人数が目立ち、週末以外は予約自体が少ない。「新型コロナウイルスで、客層が若者にがらりと変わった。特に年配の人は感染を気にするのだろう」。若い世代は酒ではなく、ウーロン茶や水で「乾杯」する人も。早めに切り上げる人が多く、2次会の利用は減った。「来てくれてありがたいが、コロナ前には戻れないと思う」と漏らす。

 「町の灯を絶やしたくない」と休業は選ばず、あらがう気持ちで営業の時短要請に応じてきた。希望は見えなかったが、会員制交流サイト(SNS)などで気丈に振る舞った。騎射場、天文館、鹿児島中央駅周辺、谷山など各地の飲食店街の活気が鹿児島の活性化につながると信じたからだ。家族や従業員の生活もかかっている。「つらくても自分を奮い立たせた」

 カウンターの棚には、持ち帰り用の容器が積まれている。昼に始めた弁当や、持ち帰り商品に使う。感染拡大から2年余り。日中に弁当を扱うようになり電気代は上昇、昨秋から最低賃金が上がり人件費も増えた。時短中は客が少なく、協力金があっても利益はほとんどなかった。通常営業に戻っても、売り上げは持ち帰りを合わせてコロナ前の7割程度だ。

 「考えれば考えるほど、状態がよくない」。客入りがやっと戻りつつあると思った途端、ロシアのウクライナ侵攻による物価高騰が追い打ちをかけた。手ごろだったサーモンは数カ月前の1キロ約1700円から約2300円に。揚げ物用の食用油もどんどん価格が上がる。空梅雨による野菜価格の高騰も気にかかる。6月、メニューの値上げに手を付けた。

 苦境の中、店をたたんだ知人や連絡が取れなくなった運転代行業者がいる。タクシーや観光を含め、支援が足りなかったり、行き届いていなかったりするのも心配だ。一方、一人で切り盛りする小さな店が行政の支援で普段より収入が増えたケースを見聞きし、疑問を感じた。「飲食店の窮状は解決されたと思われている気がする。より丁寧にいろんな現場を見て、本当に困っている人を支援してほしい」と求める。

 第三者認証店は感染対策に協力するよう客に注意喚起することが求められ、応じてもらえない客への対応に苦慮することもある。「政治家が『お客さんも感染対策に協力を』とリーダーシップを持って呼び掛けてほしい。そういう行動力を見れば、『投票しても無駄』といった諦めも変わるかもしれない」

 (参院選かごしま「託す」より)