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全国和牛能力共進会 10月6日開幕 受け入れ準備大詰め、にぎわいに期待  タクシー業界は「対応できるか心配」 メイン会場「種牛の部」の霧島市

 2022/09/30 22:14
白いテントが整然と並ぶ催事会場。手前の芝生に霧島産品特設市場が設営される=霧島市牧園
白いテントが整然と並ぶ催事会場。手前の芝生に霧島産品特設市場が設営される=霧島市牧園
 和牛のオリンピック・全国和牛能力共進会(全共)=10月6~10日=まで1週間を切った。メイン会場となる霧島市牧園では「種牛の部」「高校及び農業大学校の部」の審査や各種イベントが開かれる。県内外から多くの来場者が予想される中、受け入れ準備は大詰めを迎えている。市内では経済効果に期待が高まる一方で、不安の声も聞こえてきた。

 審査会場と道路を隔てた催事会場の霧島高原国民休養地キャンプ場。会場設営はおおむね終了し、白いテントが整然と並ぶ。少人数の作業員が配線の補修や点検、壁色を変えるシートを張るなどの作業を進めていた。3日から最終的な仕上げに入る。

 県の特産品販売や全国銘柄牛の試食、バーチャル牛舎体験ができる和牛PR館など、300以上のブースが設けられ、おもてなしの中心地となる。県全共推進室は「準備は最終段階。過去最多の41道府県から参加するので、鹿児島の魅力を体感してもらいたい」と力を込める。

■宿泊施設は満室

 市内宿泊施設の多くは期間中貸し切られるか、満室状態だ。行楽シーズンと重なり、全共開催を知らない一般客から「どこも空きがないが何かあるのか」と問い合わせも多い。都城市や姶良市など近隣市町の宿泊施設も、関係者や一般来場者の予約で埋まっているという。

 関係者の宿泊先や交通手段確保に取り組む全共鹿児島大会トラベルセンターによると、県内バス会社10社から累計400台を手配し、出品者の会場輸送にあたる。さつま交通観光(霧島市横川)は大型バス4台を出すほか、全共に合わせた団体観光を4件受注した。後藤淳一社長(53)は「全国から来てもらうので、ミスがないよう運行したい」と気を引き締める。

■タクシー不足

 飲食店は飲みに繰り出す県外客を心待ちにする。約70店舗が集まる国分の川跡ちょうちん通り会の中川照彦会長(39)は「市で一番の飲食店街。さまざまな店が集まっているので、霧島の食を楽しんでほしい」。

 にぎわいに期待する一方で、不安の声も聞こえてきた。タクシー業界は乗務員不足を理由に、大勢の利用客に対応できるかを心配する。タクシーは営業区域が法令で決まっており、区域外の車両を応援に呼ぶことはできない。

 中村タクシー(同市隼人)の中村博人社長(40)は「夜は普段から車が足りず、お客さんに30分ほど待ってもらうこともある」。開催期間が5日と長いため、通常より増員して臨むのも厳しい。旭交通(同市国分)の熊野広典総務部長(54)も「当日の配車依頼に応えるのは非常に厳しい」と話す。

■絶好の機会

 前回の宮城大会では延べ40万人が来場。新型コロナ下で落ち込むものの、九州経済研究所は29万人と推計する。

 地元霧島を売り込む絶好の機会を生かそうと市は1年以上前から準備を進めてきた。昨年6月には、商工団体や観光関係者らと「おもてなし推進協議会」を設立。経済効果をより高める方策を議論し、マナー講習など研修を重ねてきた。

 期間中は、協賛イベントとして特産品を販売する「霧島産品特設市場」を、催事会場隣に運営する。黒酢や霧島茶、薩摩錫器などを扱う26店舗が出店予定だ。

 また会場と霧島神宮、霧島神話の里公園、霧島温泉市場を結ぶ無料バスを30~50分間隔で走らせる。そのほか、観光案内所や鹿児島空港、宿泊施設に市内観光地や特産品をPRするデジタルサイネージを設置する。

 市内の店とも連携する計画だ。特設市場のパンフレットを81軒の対象店に持参すると、割り引きや記念品が受け取れる特典をつける。市の事務局は「全共を機に霧島のファンを一人でも増やし、リピーターになってもらいたい」と詰めの調整を進める。