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南国・都城のリンゴ園 親子2代65年 火山灰地、台風乗り越え 「東北に負けない」晩生種・紅ほっぺに結実

 2022/10/02 14:43
赤く色づき始めた「紅ほっぺ」を持つ多田宰資さん=都城市蓑原町の多田りんご園
赤く色づき始めた「紅ほっぺ」を持つ多田宰資さん=都城市蓑原町の多田りんご園
 日本最南端の本格リンゴ園をうたう宮崎県都城市蓑原町の観光農園「多田りんご園」で、新たに取り入れた品種が赤みを帯び始めた。南国では難しいリンゴ栽培を同地で65年続ける園主の多田宰資さん(86)にとって、10月から収穫する晩生種で味も見た目も満足できるリンゴの生産は悲願。「東北に負けない商品ができた」と笑顔を見せる。

 開園は1957年。暖地リンゴの研究と普及をしていた父の謙一さん=享年93歳=と「九州のモデル農園をつくろう」と徳島県から移住したのが始まり。暖地リンゴは小ぶりだが甘く「形は劣っても味で勝負できる」と農園を広げ、数年後には謙一さんから園の運営を任された。

 しかし火山灰(シラス)の土地はやせており、収穫期には台風被害が相次いだ。妻の昱子いくこさん(83)は「枝ごと折れて収穫ゼロの年が続いた」と振り返る。一度は閉園し野菜栽培をしたこともあったが、「南国でもおいしいリンゴを」という夢を忘れられなかった。

 園の再開は71年。丈の低い「矮性(わいせい)種」が外国にあると知り取り寄せた。台風の影響も少なく何より子どもたちがもぎりやすい。暖かい気候は糖度を高め「おいしい」と評判になったものの「見た目はまだまだ」。毎年2~3品種を取り寄せては試験栽培を続けた。

 結果は3~4年先で「植えてみないと分からない」。8月ごろから収穫できる早生(わせ)種は味や形が整う品種に出合えたが、晩生種は色づきがいまひとつで失敗続き。今回は3年前に植えた長野産「シナノホッペ」が赤く実り、形も良く商品化に結びついた。「紅ほっぺ」と名付け、今後は本数を増やすという。

 多田さんは「大変で手間もかかるが、夢があるから楽しい。父のリンゴにはまだ及ばないから、もっと努力しなきゃね」とさらなる高みを目指す。今季の営業は10月中旬まで。多田りんご園=0986(22)4803。