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アマミノクロウサギ、チョウ…闘牛も? 奄美群島の「動物注意」看板がユニーク過ぎる

 2023/02/05 15:00
アマミノクロウサギと闘牛に注意を促す看板=徳之島町井之川の県道
アマミノクロウサギと闘牛に注意を促す看板=徳之島町井之川の県道
 アマミノクロウサギに闘牛、チョウ…。鹿児島県の奄美群島には思わず見入ってしまうご当地看板がある。豊かな自然、希少な動植物と人が共生する島々ならではのものばかり。派手さはなくてもキラリと存在感を放つ。

■徳之島

 「交通安全 夕方トレーニング中注意」。看板を目にし、さすが闘牛が盛んな徳之島と納得する。アマミノクロウサギの夜間飛び出しにも注意を促す。

 レンタカー会社などを営む松山清美さん(72)=徳之島町亀津=が20年ほど前に設置した。道路を歩いていた牛が車に追突され、死んだ事故がきっかけ。「ゆっくり走ってほしい」との思いを込めた。「ここ最近はクロウサギの事故が増えている」と心配する。

 試合中に牛を鼓舞する勢子(せこ)を務める伊仙町喜念の稲富亮太さん(26)は、体重900キロ(中量級)の5歳牛「大宝」を2年前から世話する。3日に1回、農道約3キロを1時間ほどかけて散歩させる。「普段はおとなしいが、練習の角合わせは強い」。3月のデビュー戦を楽しみにする。

■奄美大島

 世界自然遺産の奄美大島には、国指定特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少種の道路への飛び出しに注意を呼びかける看板をあちこちで目にする。

 黄色いひし形の板に、黒いウサギをあしらった標識が一般的だ。鹿児島県大島支庁によると、国道・県道に計22枚。

 これとは別に、市町村や集落などが設置したものもある。目の色は奄美市や龍郷町、大和村が赤、瀬戸内町と宇検村は白と、異なっており面白い。

 大和村にはよりリアルで、ほぼ等身大のウサギを描いた看板も。村が2021年秋、事故の多い村道マテリヤ線に5枚立てた。最近は西部の県道に2枚増設。村内外の建設業者が地域貢献活動で費用を負担する。

 「今にも道路に出てきそうな姿を見て、速度を落としてもらえるように意識した」とデザインを手がけた村企画観光課の江崎さとみさん(38)。「島の道路は生き物と人で分け合っている。譲り合いの精神が浸透してほしい」と話した。

■喜界島

 オオゴマダラをはじめ美しいチョウがたくさん舞う喜界島らしい。「蝶に超注意!」。遊び心あふれる文句が面白い。アサギマダラのイラストも目を引く。

 シャリンバイやタブが生い茂る林を抜ける喜界町の林道(滝川-大朝戸)に立つ。花々が咲き誇る5月から6月、10月から11月に数多くのチョウが飛来し、絶好の観察スポットになる。

 川嶺の農業伊地知告さん(67)が町役場に務めていた15年ほど前に設置を思いついた。「チョウが飛び交い、車にぶつかりそうで危ない。運転に気を付けてほしかった」と笑う。

 林道入り口には「蝶道 Butterfly Road」の看板。こちらもしゃれっ気がある。