雇い止めが不安…今春、非正規公務員に「3年の壁」 会計年度任用職員、正職員数に迫る自治体も
2023/03/19 11:29

「3年の壁」への不安を語る会計年度任用職員
「なんとか仕事を続けられる」。県内の自治体で働く任用職員の40代女性は、このほど来年度の採用が決まりほっとした。履歴書と作文を提出し、新規応募者と一緒に面接試験を受けた。「言葉にできないきつさがあった。職場はほぼ任用職員で、仲間がライバルになるのもつらかった」
制度導入前から嘱託職員になり10年以上。だが、積み上げた実績は顧みられず「一様にゼロスタートになる」ことにも納得できない。更新時期がやってくればまた悩む日々になる。「採用側も公募するため労力が必要になる。意味があるのだろうか」
別の自治体の任用職員だった50代女性は3年公募を区切りに退職した。ひとり親世帯で子育てしながら住民の相談業務に携わった。「専門性を磨いても待遇は低い。もういいかな」とつぶやいた。
■門戸広げるため
3年の壁が生まれたのは、国が運用マニュアルで「3年公募」を例示したため。更新は原則2回で、その後は広報紙やホームページ、ハローワークなどで公募する。多くの自治体がそれに倣った。
南日本新聞社が県内19市と鹿児島県に聞いたところ、「3年公募」が県と鹿児島市、鹿屋市、薩摩川内市など8自治体。「幅広く門戸を広げるため」との回答が目立った。
阿久根や垂水、奄美など6市は「毎年公募」だった。「市民に公平に雇用の機会を提供する」(志布志市)などが挙がった。
枕崎と日置の2市は更新を4回できる「5年公募」。枕崎市は「長い雇用を保障し安定して働いてもらうため」と答えた。
一方、霧島、姶良など4市は雇用継続を希望する任用職員は職場の人事評価で判断し、公募は行わない。霧島市は「優秀な人材を確保することが目的」。新規採用はハローワークなどを通して公募する。
■住民サービス担う
県内の自治体でも正規職員に迫る数の会計年度任用職員が働き、正規職数とほぼ同数という市町村も。保育士や司書、調理師、ケースワーカーや各種相談員など、経験や専門知識を持ち、住民サービスを担う人たちは多い。
「公務非正規女性全国ネットワーク」(はむねっと)のメンバーで鹿児島市職員労組・会計年度任用職員部役員の野田千佐子さんは「不安定な雇用は人材流出を招き、住民サービスの低下につながりかねない」と訴える。
■専門職の正規化を
立教大学の上林陽治特任教授は「行政改革が公務員削減という見かけ上の改革になってしまい、しわ寄せが非正規公務員にいっている。職場で人事評価ができるのに、一律に公募にかけることは、行政側にもメリットがあるか疑問。特に虐待やDV、消費生活など住民が必要とする公共サービスを担う専門職は正規化していかないと充実した体制にならない」と話した。
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