働き方改革で利益1.7倍増 「まず女性をスタートラインに」…社長の「違和感」から見直しが始まった
2023/03/19 11:00

社用車に子ども用シートを取り付ける南九州ファミリーマートの社員=2月15日、姶良市平松
同社のこの勤務体系は、女性が働きやすい職場づくりを進めた成果の一つだ。同市と愛知県の2事業所の女性社員10人で発足させた「女性活躍推進ワーキング(ジョカツ)」を中心に、制度や運用の改善を会社に提案してきた。
ジョカツには2021年から男性社員も加入。男性育休の講演会や社員の交流会を開くなど、幅広い視点で業務の進め方や福利厚生を考える場となっている。
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女性従業員への配慮に取り組む企業は増えつつあるが、浸透しているとは言い難い。南日本新聞が県内の民間で働く約2000人に聞いたアンケートでは、生活と仕事との両立で男女不平等を感じたことが「ある」と答えたのは、男性の3割に対して女性は6割に上った。
鹿児島市の30代女性は「働き方改革を進めなければ、男性の家庭協力や女性の職場での活躍は難しい」。同市の30代女性は「性別や既婚未婚、子どもの有無にかかわらず、働きやすい環境が必要だ」と訴える。
英誌エコノミストが先進国など29カ国の女性の働きやすさを指標化した22年のランキングで、日本は下から2番目の28位。最下位は韓国だった。同誌は日韓の女性がいまだに「家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況」と指摘している。
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働き方改革は業績アップにつながる可能性がある。南九州ファミリーマート(鹿児島市)は面談などで現場の声を吸い上げ、子どもの送迎に社用車を利用することや1時間単位の有給休暇、スマートフォンでの休暇申請などを導入。22年度の経常利益は改善前の18年度の1.7倍に増えた。
旗振り役は19年に着任した東京都出身の飯塚隆社長(62)。女性が前に出にくい雰囲気や性別役割分担を強く感じ、「まず女性をスタートラインに立たせる必要がある」と取り組みを進めた。業績への反映は「効率性の向上や、明るい雰囲気でやりがいを持って仕事ができていることが一因では」と分析する。
働き方改革コンサルタントの渥美由喜さん(55)=大阪府=は「人口減少社会は総力戦。女性が職場で活躍できる社会にしないと地域として生き残れない」との見方を示す。その上で「少数派の女性らが力を発揮できれば、男性を含む全ての人が能力を生かせる職場になる」と強調した。
(連載「働く 平等ですか?かごしまの職場から」より)=おわり=
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