鹿児島の経済ニュース

【鹿児島県内公示地価】商業地の最高価格地点は「センテラス天文館」正面 鹿児島市中心部に近い団地で建て替え需要

 2023/03/23 15:03
1月1日時点の公示地価が最も高かった「鹿児島市東千石町13の19」付近。電車通りを挟んで「センテラス天文館」がある
1月1日時点の公示地価が最も高かった「鹿児島市東千石町13の19」付近。電車通りを挟んで「センテラス天文館」がある
 22日発表の鹿児島県内の公示地価(1月1日時点)は、商業地では新型コロナウイルス禍の影響を受けていた鹿児島市の天文館北側の下落に歯止めがかかった。住宅地ではJR鹿児島中央駅周辺が昨年に続いて上がったほか、同市中心部に近い高台の大型団地で需要があり、上昇傾向だった。

【商業地】

 鹿児島市の1平方メートル当たりの平均は28万8800円。上昇17地点(前年比6増)、横ばい12地点(1増)、下落4地点(7減)となった。

 商業地で最高価格地点だった天文館北側の「東千石町13の19」は、商業施設「センテラス天文館」の正面。昨年は0.9%下落したものの、同施設の開業効果により持ち直した。昨年は0.6%減だった「中町5の5」は横ばいだった。

 一方、居酒屋や接待を伴う飲食店が多い天文館南側では持ち直しが遅れる。「山之口町11の21」は、昨年の2.7%減よりも下げ幅が縮んだものの、2.2%下がった。

 公表対象となっている県内27市町のうち、鹿児島市以外は鹿屋市、薩摩川内市、姶良市など22市町が全地点下落。人口減少や郊外の大型商業施設への顧客流出などが要因とみられる。

 ただ、霧島市の「国分中央5の8の24」で1.2%、西之表市東町で0.6%、瀬戸内町古仁屋で0.5%上昇。奄美市は横ばいの地点があった。

【住宅地】

 鹿児島市の1平方メートル当たりの平均は9万2100円。上昇39地点(前年比10増)、横ばい12地点(7減)、下落15地点(5減)。

 住宅地で価格が最も高かったのは鹿児島市の「西田2の16の29」で、鹿児島中央駅西口の再開発の影響を受けた。昨年の0.8%の上げ幅を上回り、2.0%上昇した。武岡や玉里団地といった市中心部に近い高台の大型団地では、土地を2分割した建て替え需要があり上がった。

 また、市電沿線の平たん地の人気が根強く、「荒田2の17の8」で2.2%、「下荒田2の15の11」で1.6%上昇。昨年に引き続き、谷山地区ではJR谷山駅周辺の開発事業で需要が旺盛。坂之上や光山といった南部の郊外でも上がった。一方、市中心部北側・西側の坂元や伊敷では街路条件が劣り、横ばいか下落傾向となった。

 鹿児島市のベッドタウン的性格を持つ姶良市の住宅地は、ショッピングモールや市役所に近い中心部で上昇。旧蒲生町は下がった。

 鹿屋市や薩摩川内市、霧島市も郊外・旧町部では下落傾向が続く。中心部は上昇に転じたり、下げ止まったりしている。

 ◆公示地価 地価公示法に基づいて国土交通省が毎年公表する1月1日時点の土地価格。土地取引や公共事業の用地取得、固定資産税評価の目安になる。不動産鑑定士が1平方メートル当たりの価格を調べる。今回の対象地点は全国の住宅地や商業地、工業地など計2万6千カ所(うち福島県の7カ所は東京電力福島第1原発事故の影響で休止)。土地価格の指標は他に、都道府県が公表する基準地価(7月1日時点)や、国税庁が発表する路線価(1月1日時点)がある。