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焼酎の老舗・薩摩酒造がウイスキー参入 枕崎蒸留所に新工場 26年にシングルモルト「火の神」発売目指す

 2023/03/23 12:03
薩摩酒造火の神蒸溜所モルトウイスキー製造工場完成を祝いテープカットする関係者=枕崎市火之神北町
薩摩酒造火の神蒸溜所モルトウイスキー製造工場完成を祝いテープカットする関係者=枕崎市火之神北町
 薩摩酒造(鹿児島県枕崎市)がウイスキー製造へ参入するため、同市の火の神蒸留所に建設していたモルトウイスキー工場が完成した。22日に竣工(しゅんこう)式があり、本坊愛一郎社長は2036年の創業100周年に向け「新たな挑戦と品質の追求に取り組む」と決意を述べた。

 ウイスキー工場は鉄骨2階建て延べ床面積約892平方メートル。二つある蒸留釜は細長いランタン型で、冷却器とつなぐラインアームが上向きなのが特徴。これにより「エレガントな酒質を目指す」としている。

 生産規模は年間17.5万リットルの予定。2月に稼働を始め、3月初めに最初のたる詰めをした。3年間貯蔵した後、26年中に最初のシングルモルト「火の神」の発売を目指す。

 同社と同じ本坊グループの本坊酒造がウイスキー製造の実績があり、技術研修などで協力を得た。

 同蒸留所内では、ブレンデッドウイスキーに必要なグレーンウイスキーの製造施設も建設中。さらにウイスキー造りに欠かせないたる工房もある。24年にはショップやバーを備えた施設も開設し、蒸留所の一般公開を予定している。

 同市内には本格焼酎の歴史や魅力を体験する「明治蔵」があり、新たな施設と合わせ「焼酎ファンにはウイスキーを、ウイスキーファンには焼酎の魅力を感じられる機会を提供したい」としている。