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製糖メーカーでは国内初、ラム酒造りに挑戦 原料には風味強い一番搾りキビ汁

 2023/06/01 08:28
手作業でサトウキビを選別する従業員=中種子町牧川
手作業でサトウキビを選別する従業員=中種子町牧川
 鹿児島県中種子町の製糖メーカー大東製糖種子島が、サトウキビを原料とするラム酒の製造に取り組んでいる。島で栽培が盛んなキビの付加価値を高め、地元雇用の拡大につなげる狙い。カクテルなど幅広い飲み方ができる「ホワイトラム」で、11月末にも販売を始める。

 同町牧川の工場に蒸留器や発酵、熟成タンクなどを新設。酒造免許を昨年取得し、県内の酒造会社の協力を得てノウハウを学んだ。国内の製糖メーカーがラム酒造りに取り組むのは初めてという。

 種子島で自社栽培したキビを手作業で選別し、風味が最も残る一番搾り汁をラム酒に活用するのが特徴だ。初年度の生産量は約7000リットルを見込む。生産責任者の内田知範さん(45)は「キビの可能性を全国や世界に発信したい」と意気込む。

 種子島への鉄砲伝来で日本の新しい時代が幕開けした歴史にならい、商品はポルトガル語で火縄銃を意味する「ARCABUZ(アーキバス)」と名付けた。価格は1本700ミリリットルで4000円前後に設定する予定。火縄銃を模したボトルデザインも検討している。

 同社は、親会社の大東製糖(千葉市)が種子島でキビの自社栽培を始めるに当たり、2018年に設立。木村成克社長(52)は「製糖メーカーの知見を生かし、種子島だからこそできることを探った。キビ栽培を持続可能な産業とし、地域活性化に貢献できれば」と話す。