VERA計画中止 銀河系の3次元地図夢半ば 鹿児島・入来望遠鏡、年度内は存続

(2020/08/20 13:30)
入来観測局の「VERA」電波望遠鏡=薩摩川内市入来(面髙俊宏氏提供)
入来観測局の「VERA」電波望遠鏡=薩摩川内市入来(面髙俊宏氏提供)
 国立天文台(東京都)は、薩摩川内市入来など4カ所の天文広域精測望遠鏡「VERA」を使い、天の川銀河(銀河系)の正確な3次元地図を作るため2003年から進めてきたVERA計画について、一定の成果を果たしたとして中止することが19日分かった。今夏に停止予定だった入来の望遠鏡の運用を2020年度中は続ける。

 22年3月までに300天体の観測を目標に掲げた計画では天の川銀河の渦巻き構造を解明するなどしたが、確認できた天体数はオリオン座KL星など約150だった。

 論文数が少ないとの指摘もあって、国立天文台は今年3月、数億円単位だった予算を20年度は半減すると、岩手県の水沢VLBI(超長基線電波干渉計)観測所に通達。4望遠鏡を遠隔操作する指令室と観測したデータの処理局がある水沢観測所の職員数が計52人から8人削減されるなど計画が継続できなくなっていた。国立天文台の廣田朋也助教は「厳しい状況になったが、VERAが引き続き重要な役割を果たせるよう国内外の研究機関と協力して新たな研究を進めたい」と語った。

 運用停止が検討されていた望遠鏡については、鹿児島大や水沢観測所の研究者がブラックホールなどに関する新しい研究を提案。国立天文台は数千万円の追加予算を認め、停止は免れた。鹿大大学院理工学研究科の面髙俊宏名誉教授(73)=宇宙電波天文学=は「来年度以降は状況が見えない。望遠鏡は多くの研究の役に立っており、存続できるよう声を上げていく」と話した。

■「VERA」計画
 薩摩川内市入来、岩手県奥州市、東京都小笠原村父島、沖縄県石垣市にある直径20メートルのアンテナを組み合わせて同時に測定することで、直径2300キロの望遠鏡と同じ性能になる。月に置かれた1円玉を判別できるほどの測定能力がある。星の位置や運動を計測し、銀河系の立体地図作りを目指す。入来の観測局は2001年に建設され、鹿児島大学と共同運用している。
VERA計画により明らかになった天の川銀河の渦巻き構造。矢印は星の動き
VERA計画により明らかになった天の川銀河の渦巻き構造。矢印は星の動き