「旅行客でなく住人として」断捨離のやましたひでこさんが南国・指宿に移り住んだワケ ホテル一室で実践する人生リフレッシュ構想
2021/03/10 10:50

リトリート構想について語るやましたひでこさん=指宿市の指宿市の指宿ベイヒルズHOTEL&SPA
やましたさんは東京出身。緊急事態宣言下の生活を経験し、旧知で同ホテルを運営する新日本科学の永田良一会長に相談。同ホテルの協力を得てリトリート構想を立ち上げた。
昨年10月、東京に仕事場を残してスーツケース2個でベイヒルズの一室に引っ越しし、住民票も移した。
「指宿リトリート『リヒト』」と名付けて始動し、ホテルにプランを設けた。「1日だけでも旅行客ではなく住人として暮らす」をルールに、部屋の掃除も参加者が担う。
通常のホテル宿泊費とは異なり、リトリート専用の賃貸料金と玄米食などの1日2食の食事込みで税別8500円。
これまでメールマガジンの会員や断捨離に関心がある200人以上が利用した。荷物も心も軽くして、標高約300メートルにあるホテル一帯の自然や温泉を楽しんでいる。
やましたさんは東京と行き来しながら、指宿では原稿執筆、講座も開く。「朝日を浴びて目覚め、月を見て眠る毎日。自然も食べ物も豊かで、そのお裾分けをいただいている」と満足そうだ。
断捨離は、必要か不用か、物の取捨選択を通して思考や感性を研ぎ澄ますこと。リトリートにも「住み慣れた土地や家、人間関係から一度離れて自分を見つめ直し、人生の再生につなげてほしい」との思いを込める。
今後は、取り組みを市全体にも広げたいと考えている。「都市と地元に住む人々が交流し、自由に暮らせる『リトリート経済特区』が夢」と話している。
■「引き算のホテル」に模様替え
指宿ベイヒルズは、やましたひでこさんの指揮で、断捨離の考え方を生かした模様替えを進めている。
ホテルは地下1階~4階99室。隣接する体育館(約1790平方メートル)に家具や備品をいったん移した。びっしりと運び込まれた様子は壮観。今後、この中から必要な物を選ぶ。
1階の売店は台や備品を撤去し、バーカウンターを設置。すっきりしたサロンに生まれ変わった。ラウンジ、レストラン、倉庫、スタッフ控室と進んでいる。
目指すのは「引き算のホテル」とやましたさん。客室にも挑戦する予定という。ホテルマネジャーの中村正貴さん(45)は「必要な物と不用な物が整理され使いやすくなった。空いた空間をどう使うか考えるのが楽しみ」と笑顔で話す。
【やました・ひでこ】
一般財団法人断捨離代表。ヨガの哲学「断行・捨行・離行」を、日常の片づけに落とし込んだ「断捨離」を提唱する。近著に「1日5分からの断捨離」など。
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