三つ編み男子、寄付の決意揺るがぬ2年半 伸ばした髪40センチばっさり  「手入れ面倒と思わなかった」

 2021/04/06 11:00
三つ編み姿の田中優成さん
三つ編み姿の田中優成さん
 鹿児島市松陽台町の田中優成さん(12)が、小学校卒業を機に、2年半伸ばしていた三つ編みの髪をばっさり切った。医療用かつらを提供するNPO法人にヘアドネーションをするためで、カットした約40センチの髪の毛を手に「手入れが面倒だとは一度も思ったことがない。目標を達成できてうれしい」と充実感をにじませた。

 田中さんがヘアドネーションを知ったのは小学4年の秋。病気で髪の毛を失った子どもにかつらを提供するNPOを紹介した新聞記事だった。「困っている人を助けたい」。長髪がきっかけでいじめに遭うことを心配し両親は反対したが、意志は揺るがなかった。

 髪は昨年12月ごろから三つ編みができるまでに伸びて、トレードマークに。女の子に間違えられることも多かったが、駄じゃれ好きで明るい性格の田中さんは「駄じゃれがすべった時の方がショックだった」と笑い飛ばす。

 “断髪式”は先月、日置市の美容室「LINOA(リノア)」であった。ヘアドネーションで年間50人くらいの髪をカットするという代表の野村尚吾さん(32)は「男性は初めて。田中さんは髪の量が多く状態がいい」と太鼓判を押した。

 散髪する息子を見守った母百合子さん(45)は「同級生の女の子が、学校で三つ編みをしてくれたときはうれしかった。ヘアドネーションをできたのは、理解のある友達や先生たちがいてくれたおかげ」と感謝した。