学校健診 下着脱ぐ必要ある? ない? 検査精度上げる目的も…思春期の子どもに気遣いを
2021/04/19 17:30

健康診断を受ける児童たち(本文と写真は関係ありません)
母親によると、娘は昨年の健診で、医師からブラジャー下に聴診器を入れられた。聴診器が胸の下から上に肌を沿うように移動し、胸の先端に手のひらが当たるなど不快な思いをしたという。一昨年は看護師に体操服と下着をめくり上げられ、胸が見えた状態で医師の診察を受けた。
母親が学校に問い合わせたところ、「診察法は医師の方針に従っている」との回答だった。母親は「多感な思春期で心の傷になる恐れもある。胸に直接手を触れないなど配慮してほしい」と訴える。
県内のある高校は下着を外して診察を受ける形だったが、学校医が変わったのを機に今年から着用したまま受けられるようになった。以前、人権上の配慮から下着着用を打診したこともあったが断られたという。教頭は「学校は健診に来てもらっている立場。無理は言えない」と明かす。
一方で、ある学校関係者は「脱衣で診るのは虐待を早期発見する狙いもある。短時間で異常を見落とさないよう努める医師の思いも分かる」と話す。
学校健診は、学校保健安全法で小中高校などに毎年の実施が義務づけられている。日本学校保健会のマニュアルに沿って、身長・体重測定、視力・聴力検査などが行われ、学校医の診察では心音や呼吸音の異常、背骨のゆがみ、皮膚疾患の有無などを調べる。
県医師会理事で学校保健担当の立元千帆医師(46)=あおぞら小児科院長=は「診察法は医師によってさまざま。脱衣させる方が検査の精度は上がる」とした上で、「聴診器で心音などを診る際、ほとんどの場合、胸に手を触れずにできる。(冒頭の事例は)医師の配慮が足りなかったかもしれない」とみる。
小児科医で薩摩郡医師会病院の相良久治院長(69)も、「病院で受ける詳しい診察は裸が基本。だが健診で確認する心臓や肺の音の異常程度であれば、下着を着用したままでも可能」と話す。
文部科学省は3月、健診時の脱衣を伴う検査における留意点を全国の教育委員会に通知した。プライバシー意識が高まり、現場で対応に困ることがあるためという。留意点に、具体的な診察法の記述はないが、「発達段階を踏まえた配慮を行う」ことを求め、工夫例として「必要性や実施方法について丁寧に説明し理解を得る」ことを挙げている。
相良院長は「生徒や保護者の要望を学校が把握し、医師と共有するのが望ましい。その上でどのような配慮ができるのか検討すべきだろう」と話した。
あわせて読みたい記事
-
〈ふるさと逸品〉大きな栗一個 まるごと大判焼きに12月6日 10:00
-
100周年記念で鹿児島高校の生徒が考えた 南九州ファミリーマートからコラボ3商品販売12月6日 09:00
-
川内原発運転延長 市議会特別委の賛成に市民は「地元経済に貢献」「住民の不安無視」12月6日 08:30
-
【解説・薩摩川内市議会が川内原発運転延長に「賛成」】市・県の判断へ地ならし進む12月6日 08:00
-
防衛力強化へ、政府が全国38空港・港の整備・機能拡充を検討 鹿児島県内は2空港6港が対象に12月6日 07:40
-
離島住民は車検が大変…鹿児島県が車両の送料支援を検討 来年度から実施目指す12月6日 07:30
-
屋久島沖米オスプレイ墜落から1週間 行き交うヘリ、軍車両…島の日常一変 行方不明者の捜索続く12月6日 07:08
-
酒気帯び運転で道路横断中の女児をはねる 60代のさつま町職員を懲戒免職12月6日 07:02
-
南日本広告文化賞 グランプリの城山観光(鹿児島市)などを表彰12月6日 07:00
-
都城志布志道路が来年度中に全線開通 都城-志布志港は40分短縮12月5日 21:45
-
鹿児島市の夜景をより魅力的に…南日本銀行本店ビルがライトアップ、創業110周年記念で初の試み12月5日 21:30