「おとうさん がんばって」画用紙に書いた息子たちへ 白血病克服の父 生きる素晴らしさ伝えた聖火リレー
2021/04/28 11:30

沿道で応援する深美陽市さんの家族=27日、奄美市矢之脇町
西都市出身。高校3年の1月、首の腫れで、入院した。3カ月ほどたったころ、無菌室に入り、髪の毛が抜けていく白血病患者をテレビで見た。自身の姿と重なった。看護師にその話をした翌日、急性骨髄性白血病と医師から告げられた。同席した父穣治さん(68)は「どうしても言えなかった」と泣いた。涙を見るのは初めてだった。
抗がん剤治療はつらく、死んで楽になりたいと考えたこともあった。母賀津子さん(63)が作ってきた冷や汁を投げつけたこともあった。両親は農業をやめ、畑を売った。穣治さんはごみ収集の仕事を始め、賀津子さんはコンビニの総菜を作る工場で働いた。仕事を終えると毎日病院に足を運び、帰りはいつも涙に暮れていた。
治療を始めてから約1年後、ドナーが見つかり、手術は無事成功。大学で健康教育を学び、「命の大切さを伝えたい」と教師の道に進んだ。
間近で息子の走る姿を見た穣治さんは「本人が、よく頑張ったと思う。今日は幸せな気持ちになれました」と喜んだ。賀津子さんは、近づく息子に向かって左手をほんの少し前へ突き出し、「あっという間でした」と笑顔を見せ、「『かっこよかったよ』って、言ってやります」と誇らしげだった。
大学の同級生で養護教諭の妻亜希さん(35)から「つらい治療に耐えながら、頑張っている人の励みになるよう元気に走って」とアドバイスされていた。「健康であることの大切さ、生きていることの素晴らしさを、自らの体験を通じて伝える『命の授業』に聖火リレーの体験を付け加えたい」。深美さんは晴れ晴れとした表情を見せた。
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