2021/05/18 22:35

鳥刺し、さつま揚げ、生パスタ…おもしろ自販機、続々登場 24時間、省力化、コロナ対策でも注目

真栄ファームの黒さつま鶏の鳥刺しや加工品を売る自動販売機。左は冷蔵、右は冷凍=南九州市川辺町清水
真栄ファームの黒さつま鶏の鳥刺しや加工品を売る自動販売機。左は冷蔵、右は冷凍=南九州市川辺町清水
 生パスタ、卵、晩酌に欠かせないあの郷土食-。近年、鹿児島県内では“変わり種”の自動販売機が続々登場している。省力化や人件費削減のため導入する企業・店舗が増加。新型コロナウイルス下で、対面接触がない新たな販売ツールとしても注目されている。

 一面ガラス張りの自販機をのぞくと、パック入りの鳥刺しがずらりと並んでいた。黒さつま鶏を生産加工する真栄ファーム(南九州市)の和田真弥社長(38)は「生の鳥刺しの自販機はおそらく県内初。面白いことをしたかった」と狙いを語る。

 同市に構える直売店を改装し、4月から2台を稼働。自販機のみで24時間営業する。和田社長は「以前はアルバイトも集まらず、来客の度に鶏をさばく手を止めなければならなかった。初期投資はかかるが、省力化や人件費削減のメリットは大きい」。

■直売店代わり

 直売店代わりに自販機を導入する例も相次いでいる。製麺所「快笑」(鹿児島市)を営む強矢(きょうや)大輔さん(48)は話題性も狙い、2019年12月からパスタや中華麺の生麺販売に活用する。

 同市春山町の弟のラーメン店前と谷山地区に1台ずつ置く。宣伝効果は大きく、テレビや雑誌に取り上げられたが、「そのうち珍しくなくなる。商品力に加え、売り方の工夫も必要」と強調する。

 1玉80円と手頃な価格に抑え、ラーメンスープとのセットや週替わりの特売品などラインアップも豊富。女性を中心にリピーターをつかみ、2台で月30万円超を売り上げる。

 菊永エッグファーム(南九州市)は直営店を訪れる客の要望を受けて19年4月、鹿児島市川上町にロッカー型自販機で卵を売る無人店舗をオープンした。当初、「生産者の思いが伝わらないのでは」と懸念した菊永成人社長(46)。自社のこだわりを紹介するパンフレットを作り、客の声を拾うメッセージカードも置いた。

 反応はよく、翌年には2店舗目の中山店を開店。2店で400セット超のパックや箱入り卵を扱う。毎朝、新鮮な商品に入れ替えているが、売れ残りはほぼ出ないという。

 今年4月、ドーン・ワークス(南九州市)も販路拡大のため、鹿児島市に冷凍ギョーザの自販機を置いた。

■区画貸し出し

 植山かまぼこ屋(霧島市)は、新型コロナで営業時間の短縮要請が出たのを機に昨年8月、店横に「じはんき商店街」を“開店”した。さつま揚げなど自社商品に加え、クッキーやラーメンといった地元店の商品も並ぶ。

 設置主の同社が、商品を入れる区画を有料で貸し出している。無人販売は新型コロナ対策になり、24時間営業も可能。過剰な包装が不要で少量から販売できるため、小さな店でも参加しやすい。趣旨に賛同した同市の整体院による2号店も誕生した。

 目指すのはコンビニより身近な販売所だ。植山吉将社長(43)は「スーパーのない中山間地でも置けるだろう。地域のニーズを拾いながら店舗を開拓したい」と意気込む。
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