2021/06/22 22:01

「4人も、まさか」 町長選過去17回で無投票12回、無風の町に何が 鹿児島・和泊

立候補者の出陣式に駆け付けた有権者ら=22日、和泊町(画像の一部を加工しています)
立候補者の出陣式に駆け付けた有権者ら=22日、和泊町(画像の一部を加工しています)
 和泊町長選は22日告示され、無所属新人の4人が立候補を届け出た。奄美群島が日本に復帰した1953(昭和28)年以降、17回あった町長選のうち無投票当選は実に12回に及ぶ。2013年以来の選挙戦に、町民は「ようやく選択肢ができた」と歓迎し、政策論争を求めている。

 「よく言えば、『争いを避ける』だけど、事前調整によって長いものに巻かれる町民性とも言える。物を言いやすい町ではない」と40代主婦は打ち明ける。住民らは「これまで町の有力者がこの人と決めれば、まとまった。力のある人が亡くなり、たまっていた町政への不満が出た」と口をそろえる。

 58年から85年まで町長を7期務めた故・武田恵喜光さん、05年までの任期中はいずれも無投票で5期連続当選した故・泉貞吉さん、現職の伊地知実利さん4期と、いずれも在任期間は長かった。支持層は盤石で、対抗馬が出にくかったと指摘する声もある。無投票だった17年の前回も立候補を模索する動きは複数あったが、伊地知さんが続投の意向だったため断念。勇退表明した今回はそれぞれ「勝機あり」と判断したようだ。4人で争う町長選は初となる。複数の陣営幹部は「これだけ名乗りを上げたことに、まさかという思い」と漏らす。

 一方、若者の意識にも変化が芽生えた。花農家や商工業者らが選挙戦を盛り上げ、政策で投票先を決めてもらおうと、手弁当の立候補予定者討論会を実施。収録した動画の上映会を20日開くと、100人以上が集まり、関心の高さをうかがわせる。

 実行委員長の末川隆志さん(37)は「従来の選挙では、なれ合いの風潮もあったが、政策論争を後押しできると思う」と話す。島内の歴史や文化を調査している「えらぶ郷土研究会」の先田光演会長(78)は「誰が、どの団体が応援しているからではなく、政策を吟味して町長を選べる。住民の主権者意識も問われている」と語った。
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