2021/07/25 21:30

明治の官僚・官職3万8000人をDB化し公開 鹿児島大学司法センターの研究者、25年がかりの大作

大久保利通像=鹿児島市
大久保利通像=鹿児島市
 明治時代の公的機関職員や軍人ら3万8296人を網羅した「明治期官僚・官職データベース(以下DB)」が完成し、鹿児島大学司法政策教育研究センターが7月、提供を始めた。近代史研究に欠かせない名簿類を、在野の研究者が四半世紀かけてデータ化した労作。専門家は「調査の手間が大幅に減り、一般の人も使える」と高く評価する。

 DBは1868(慶応4、明治元)~1911(明治44)年に発行された、国や県の職員名簿に当たる「官員録」「職員録」など5種の名簿を、表計算ソフトのエクセルで分類。電話帳のように名字で整理し、氏名や職名、出身地も載せた。

 例えば文官の項で「大久保」を検索すると22人がヒット。その1人、大久保利通は1868年の議政官参与を皮切りに次々と要職に就いていた。暗殺された78年当時は内務卿、太政官(だじょうかん)参議、地租改正事務局総裁を兼務しており、存在の大きさがうかがえる。

 作成したのはセンターの國岡啓子客員研究員(56)=近代政治史、東京都在住。膨大な冊子をめくる不便さから、DB作りを発案した。大学院博士課程を終え、研究の一線を離れた1995年ごろ、自宅で作業をスタート。集めてきた資料や国会図書館の公開画像を使い、家事や子育ての合間に入力、編集した。

 「漢字には悩まされた」と國岡さん。異体字や誤記が多く、同一人物か別人かの判別に苦労したという。

 2019年に名簿2種分がまとまり、広く公開する手だてを探っていた。そこで旧知の米田憲市センター長(55)が「維新をリードした鹿児島で発信を」と運営を申し出て翌春、センターのホームページ(HP)で無償提供を始めた。

 2日に公開した最新版にはキャリア官僚と司法職員の合格者、帝国大学卒業者を追加。近世・近代史を研究する原口泉・志學館大学教授は「研究者には福音。手紙などの記録に照らすと、どんな立場で発言、行動したかがよく分かる」と喜ぶ。

 國岡さんは「必要な作業と信じて続けてきた。役に立てばうれしい」。申し込みはHPかフェイスブックで受け付けている。