2021/08/04 10:45

「全身全霊を尽くす」決勝の海 五輪セーリング・外薗潤平選手 恩人へ、故郷へ恩返し誓う

セーリング 外薗潤平選手(鹿児島商高出身)
セーリング 外薗潤平選手(鹿児島商高出身)
 東京五輪セーリング男子470級の外薗潤平選手(30)=JR九州、鹿児島商高出身=が予選を突破し、4日、決勝レースに挑む。メダルの可能性は消えたが、「鹿児島に恩返ししたい。全身全霊を尽くす」との決意は変わらない。高校時代、大好きな鹿児島湾でヨットにのめり込んだセーラーは、勝負の海へ出帆する。

 「大好きな海に毎週行けるなんて、最高じゃないか」。高校入学直後、部活動紹介を見てぴんときた。中学時代は陸上部だったが「高校では違うことをやりたい」。セーリングとの出合いだった。

 鹿児島湾は、雄大な桜島を一望でき、沖に出ればイルカも見られた。吹き抜ける海風を全身で受け止めるうちに、「エンジンを使わず、自然の力でどこまでも行ける」と夢中になっていった。

 やがて、目標とする人物に出会う。同郷の先輩で、後に2016年リオデジャネイロ五輪代表となる今村公彦さん(37)=JR九州、錦江湾高出身=だ。国体の鹿児島チームで交流が深まり、09年新潟国体ではペアを組んで6位入賞。日本経済大(福岡県)、JR九州と後を追うように同じ道を歩んできた。

 「今村さんがいたから五輪を身近に感じ、うまくなろうと思えた」。先輩のリオ五輪出場に刺激を受け、この年に初めてナショナルチーム入り。勤務免除で競技に専念できるようになったのも、今村さんに導入された社内制度の先例があったからだった。

 東京五輪の最終選考レースとなった19年のW杯江の島大会は忘れられない。今村さんのペアと最後まで争い、念願の切符を勝ち取った。レース後、「一番に応援する」と言ってくれた先輩に、「思いを背追って頑張らなければ」との気持ちを強くした。

 五輪会場の江の島沖は慣れ親しんだ練習拠点。ペアを組むスキッパーの岡田奎樹選手(トヨタ自動車東日本)とは、17年に初めて一緒に船に乗った時から互いに「気を遣わず意思疎通でき、五輪を目指せる」と認め合ってきた仲だ。「自分にとって最後のレース。いい成績で終わりたい」。これまでの全ての歩みを追い風にすると、心に誓っている。
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