〈寅さん鹿児島旅 渥美清さん没25年〉マドンナは大原麗子さん。「寅次郎真実一路」に登場する民宿。逝去後も面影探す巡礼客
2021/09/25 10:00

(南日本新聞 2021年1月3日付)
2021年は松竹映画「男はつらいよ」の車寅次郎役で人気を集めた渥美清さんの没後25年に当たる。シリーズ中、34作目「寅次郎真実一路」(山田洋次監督)では、鹿児島ロケが行われた。今もフィルムに刻まれた風景が残る場所があり、地元の人たちは寅さんとの縁を大事に覚えている。撮影地を巡り、寅さんの鹿児島旅をたどった。
「真実一路」の寅さんとふじ子は枕崎駅に到着する。現在の駅舎は3代目で、映画には2代目が映る。大原麗子さんが線路で転ぶハプニングがあり、見守る市民から悲鳴が上がったという。
失踪したふじ子の夫の実家を訪ねる場面は、南九州市頴娃町別府の石垣集落で撮られた。白黒の壁が印象的な古民家が並ぶ細道の一角だ。地元で酒店を営む小川秀広さん(80)によると、十数年以上前、一帯で河川工事があり建物は解体された。残された石垣がわずかに面影を残す。
小川さんは、37年前の歓迎幕を今も保管する。カメラが趣味で「数え切れない」枚数を撮った。ファインダー越しに見た渥美さんは「気取るところなく、寅の印象通り。大原さんは柔らかい感じだった」という。集落が選ばれたのは「田舎の静かなゆったりした時間が寅にふさわしい、と監督が思ったのでは」と考えている。
指宿市山川成川の鰻温泉にある「民宿うなぎ荘」も、二人が立ち寄った場所として登場する。おかみの三浦カズ子さん(84)が腰痛のため営業を終えたが、外観もテーブルも当時のまま。渥美さんとはサインをもらう約束をしたが、次は列車で知覧に行くと急いでいて、果たせなかった。撮影中はクルー約30人分の食事づくりに大忙し。渥美さん、大原さんとも「うな重とこいこくをおいしいと食べてくれた」
公開後「寅さんが来たところに泊まりたい」という客が時々訪れた。二人の逝去後も絶えず、面影を探しているようにも見えたそうだ。
■男はつらいよ 寅次郎真実一路■1984(昭和59)年公開のシリーズ34作目。マドンナは大原麗子さん。ふとしたことで寅さんと知り合った証券マンが失踪した。寅さんは夫を捜す妻のふじ子(大原)と彼の故郷・南薩を巡る。ロケは同年11~12月、加世田や丸木浜といった南さつま市内のほか、鹿児島市などで行われた。
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