2021/09/20 12:20

米軍訓練移転 馬毛島評価額 当初「20億円」 民主政権時・北沢元防衛相が証言 自公政権 8倍の160億円で買収 「説明不十分」

馬毛島
馬毛島
 旧民主党政権時に防衛相を務め、2011年6月の日米安全保障協議会委員会(2プラス2)の共同文書に米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地として西之表市馬毛島を明記した北沢俊美氏(83)が19日までに南日本新聞の取材に応じ、島の評価額は当初約20億円だったと証言した。当時を知る防衛省関係者も認めた。その後自公政権は19年11月、約8倍の約160億円で地権者と売買合意に至った。

 馬毛島へのFCLP移転と自衛隊基地整備計画は売買合意以降、ボーリング調査や環境影響評価、F15戦闘機デモ飛行と手続きが着々と進む。一方、政府は積算根拠や経緯を明らかにしておらず、改めて説明責任が問われそうだ。

 北沢氏は09年9月の政権交代で大臣に就任して間もなく、未解決の重要案件を示すよう指示。その際、06年に日米合意した在日米軍再編に伴い、硫黄島(東京都)で暫定的に実施されているFCLPの移転先選定が挙がった。関係者は「その時点で(馬毛島が)有力候補だった。硫黄島での訓練は限界が来ていた」と明かす。

 水面下で馬毛島の調査・検討を開始。専用機で沖縄から鹿児島の離島を低空飛行し、視察したこともあった。北沢氏は「訓練時の騒音を考えると、離島以外にないと考えた。起伏がなく、馬毛島以上の適地はないと確信した」と振り返る。

 11年1月ごろからは、島の大半を所有していたタストン・エアポート社(東京都)との交渉に入った。同社は約200億~300億円の評価額があると主張し、年5億円での賃貸契約を譲らなかった。防衛省側は買収が絶対条件で40億円程度を限度と考えていたという。

 馬毛島を共同文書に載せることで売買交渉が不利になるとして慎重姿勢だった官僚側に対し、北沢氏は「日米同盟を軸とする政府の義務と考え、政治決断した」と述懐する。在日米軍再編ロードマップ(行程表)で09年が目標期限のFCLP移転先選定ができていない事情もあった。

 北沢氏は約160億円に上る買収額を「あまりにも高すぎる。地元理解に向け、説明が不十分だ」と批判。明記から10年たった今も地元の賛否が割れていることに「騒音への不安は当然。(馬毛島が)日米同盟に不可欠との姿勢や情報公開を徹底し、計画を進めてほしい」と述べた。

【プロフィル】北沢俊美(きたざわ・としみ)氏 1938年、長野市出身。早稲田大学卒。県議を5期務め、92年に参院初当選し4期。防衛相、民主党副代表などを務めた。2016年に政界引退。現在は学校法人四徳学園(長野市)理事長。
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