2021/09/20 21:30

広がる「やさしい日本語」 外国人暮らしやすく コロナ、災害 増す重要度 鹿児島

「やさしい日本語」を使って開かれた防災講座=鹿児島市のかごしま県民交流センター
「やさしい日本語」を使って開かれた防災講座=鹿児島市のかごしま県民交流センター
 鹿児島で暮らす外国人に、通常より簡単でわかりやすい「やさしい日本語」を使う動きが広がっている。これまで災害時の呼び掛けなどに使われていたが、新型コロナウイルスの情報を伝える手段として重要度が急増。県内各地の技能実習生らと住民のコミュニケーション手段として日本人が学ぶ機会も増えている。

 「災害(さいがい)がおきた時(とき) にげる場所(ばしょ)は 学校(がっこう)などの公共(こうきょう)のしせつです」。

 鹿児島市で16日、外国人向けに「にほんごサロン」が開かれた。テーマは防災。県災害対策課の谷口憲一専門員(46)が火山や台風、大雨への備えをやさしい日本語で説明した。

 参加者は中国やベトナム、カナダなど約10人。フィリピン出身の女性(57)は「かんたんな言葉で話してくれたのでよくわかった」と笑顔を見せた。

 サロンは県国際交流協会が月1回のペースで開き、やさしい日本語を使う。7月は鹿児島市の保健師が新型コロナのワクチン接種の手続きなどを講義。同協会の吉村博幸事務局長(61)は「少しの工夫で外国人に適切な情報を届けることができる」と話す。

■英語より伝わる

 「やさしい日本語」は、ふりがなをふる、文は短く、敬語はなし、文末は言い切る-などが基本。1995年の阪神大震災を機に、取り組みが始まった。最近は新型コロナの感染やワクチン情報を伝えるために活用が進む。文化庁は昨年ガイドラインを発行した。

 県国際交流協会はホームページ(HP)やフェイスブックに、やさしい日本語で日々の感染状況や緊急情報などを発信する。鹿児島市国際交流センターもHPに英語・中国語などと合わせてコーナーを設け、ワクチン情報を掲載。鹿屋市、さつま町もHPのコロナ相談窓口などをやさしい日本語で案内する。

 県内の在留外国人は1万2204人(2020年12月)。ベトナム、中国、フィリピン、インドネシアなど多様で、技能実習生が7割程度を占める。英語を母国語としない国が増え、日本語を学んで来日する人が多く、英語より日本語の方が伝わりやすいという。

■日本人も学ぶ

 日本人が学ぶ場も増えてきた。鹿屋市は今年、「困りごとなどの支援につなげたい」(地域活力推進課)と市民向けセミナーを開催。さつま町は町職員研修に続き、来月は町民向け講座を開く。

 だが、文化庁が昨年発表した調査結果で「やさしい日本語」を知っている人は3割程度にとどまる。「認知度を上げることが課題」と、指摘するのは鹿児島市の異文化教育研修所有隣館の上迫和海代表(58)。「自己流に陥ることなく、基本ルールをしっかり身に付けることが大切。英語が苦手でも地域で国際交流できるので、多くの県民に学んでほしい」と期待する。