2021/09/26 08:30

「クワガタ大量に捕れた」SNSで情報拡散? 世界遺産の奄美大島・徳之島 昆虫トラップ後絶たず 地元「規制の強化を」

密猟防止へ合同パトロールをする自然保護協議会=14日夜、奄美市住用
密猟防止へ合同パトロールをする自然保護協議会=14日夜、奄美市住用
 世界自然遺産に登録された奄美大島、徳之島で昆虫採取目的のわな設置が急増している。奄美大島では国立公園内での仕掛けが後を絶たず、徳之島では希少種生息エリアで大量に見つかった。密猟疑いでの県警の摘発は2019年以降3件にとどまるが、常態化している可能性が高い。遺産登録から26日で2カ月。監視活動を続ける住民は対策の強化を求める。

 国立公園内は工作物設置が原則禁止され、県や環境省に、学術研究などによる設置許可を申請していないわなは違法になる。国立公園外でも種の保存法や県条例で採取を禁じた希少種もあり、捕獲すれば密猟になる。

 環境省、奄美大島5市町村などでつくる自然保護協議会は14日夜、国立公園に指定されている三太郎峠(奄美市住用)をパトロール中にわなを見つけた。樹木の枝に、バナナなど果物を入れたストッキングをつるし、昆虫を呼び寄せる代表的な仕掛けだ。

 摘発には現場を押さえる必要があるため県警も同行したが、わなは古く、摘発は難しい状況だった。

 奄美大島では15日までに例年の1年間に匹敵する13件のわなが国立公園で確認された。「設置許可を上回る件数」(県大島支庁)で密猟の可能性がある。

 環境省自然公園指導員でパトロールを続ける自然写真家の常田守さん(68)は「密猟者らしき人と出くわしても設置許可を申請したと言われ追及できないケースがある。許可の有無が一目で分かるようにすべきだ」と対策強化を求める。

 密猟防止へ監視活動を続けるNPO法人「徳之島虹の会」によると、徳之島で7月上旬、国立公園外で15人ほどが1人につき80~120個のわなを仕掛けていた。クワガタが大量に捕れたという情報が会員制交流サイト(SNS)で広がったことが一因とみられる。

 虹の会の美延治郷理事(65)は採取を禁じたアマミマルバネクワガタなどが含まれている恐れがあると言い、「子どもの昆虫採集や学術研究を禁止する必要はないが、条例などで、わな設置自体を規制する時期に来ている」と訴える。

 こうした指摘に環境省の後藤雅文・離島希少種保全専門官は「国立公園内での設置許可を受けた人は、腕章を着けたり、車にステッカーを張ったりすることを検討したい」と説明。県自然保護課の新原聡主事は「国立公園外でのわな設置は趣味の採取や子どもの学習など多岐に渡り、一律に規制するのは難しい」とした上で、「固有種の保全に悪影響が出る状態が続けば、何らかの規制は必要」と話した。
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