2021/10/13 07:39

修学旅行にローカル線を 肥薩おれんじ鉄道 貸し切り利用に活路

運転士姿でガイドを終え、拍手を浴びる西出水小学校の児童(中央)=7日、肥薩おれんじ鉄道車内
運転士姿でガイドを終え、拍手を浴びる西出水小学校の児童(中央)=7日、肥薩おれんじ鉄道車内
 肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)で、修学旅行の貸し切り利用が好調だ。2019年度の1件に始まり、21年度は鹿児島県内の沿線自治体を中心に17件を見込む。低迷する輸送人員の好転を目指すおれんじ鉄道と、車窓風景を郷土教育の充実に役立てたい学校側の思惑が一致した形だ。

 「川内川は熊本、宮崎を通る鹿児島で一番長い川です」。7日、西出水小学校(出水市)の修学旅行生104人を乗せた貸し切り列車。川内駅から西出水駅まで児童3人が沿線ガイドに挑戦し、尾崎蘭さんは社会科で学んだことを振り返る解説を盛り込んだ。

 2年連続となる同校の利用は薩摩半島を巡る1泊2日の締めくくり。おれんじ鉄道にとっては、県内の新型コロナウイルス「まん延防止等重点措置」が解除になって初の修学旅行利用だった。

 同鉄道は20年度、コロナ禍と豪雨災害が直撃し、輸送人員が前年度比25%減の80万4000人に落ち込んだ。修学旅行での貸し切りは巻き返し策の一つ。19年度の初利用が好評だったのを受けて営業に本腰を入れ始めた。

 貸し切り料1両約6万円の半額近くを県の補助金でまかなえるのも追い風だ。20年度の実績は9件約450人で、21年度は5校合同の利用を含む17件約千人に急増の見込み。同鉄道の薬丸剛営業総務課長(51)は「コロナ禍で修学旅行の県内志向が強まったおかげ」と語る。

 学校にとっては車窓の景色を郷土教育の素材に充てられる魅力が大きい。10月下旬に同鉄道を一部使い、6年生73人が熊本県に向かう阿久根小学校(阿久根市)の井手上司教諭(45)は「移動時間に古里を改めて学ぶ。地元の公共交通に興味を持つきっかけにもなれば」と期待する。

 同鉄道は引き続き、旅行代理店と協力して貸し切り利用をPRする方針。薬丸課長は「コロナ後の利用につなげ、“おらが鉄道”意識を多くの子どもに持ってもらいたい」と話している。
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