〈衆院選鹿児島〉異例の短期決戦 政治に何を託す? 有権者「政策論争の充実を」

 2021/10/15 09:06
 衆院が解散した14日、投開票を17日後に控え戦後最短となる異例の選挙戦が事実上、幕を開けた。新型コロナウイルス禍に苦しむ鹿児島の有権者は政治に何を託すのか。深刻な打撃を受けた経済界や、感染者の対応に追われた医療現場からは、政策論争の充実や実効性ある支援策を願う声が上がった。

 「政策はころころと変わる。誰がやっても同じという気持ち」。9月上旬に新型コロナウイルスに感染し入院した鹿児島市の30代女性は語る。後遺症治療のため現在も自費で通院中。「入院費は公費だったが、退院後のフォローはない。収入が減り生活が苦しくなった人も多いのでは」と不満を抱く。

 医療従事者も、コロナ対応の抜本的な見直しを求める。鹿児島市のナカノ在宅医療クリニックの中野一司院長(65)は、コロナ感染者は原則隔離が必要とされている現状について「基準を緩めるべき」と考える。「入院が必要な感染者は全体の2割程度と言われる。基準を緩めれば地域の実情に応じた対応が可能になる」

 離島医療は、コロナ対応で人材不足に直面。公立種子島病院(南種子町)は、感染者の受け入れにより、1日あたり9人が勤務する病棟看護師のうち2、3人を割くことになり、通常の入院患者の対応に苦慮した。徳永正朝院長(57)は「へき地の人材確保に対し真剣に議論を進めて」と願う。

 コロナ禍は、県内の中小事業者にも大きな打撃を与えてきた。鹿児島市の仕出し店「おはらフーズ」は、会議や催しの消失に加え、飲食店の持ち帰り参入で受注が減少。林勢至社長(84)は、休業協力金や需要喚起策がある飲食店、宿泊施設に比べ支援は不十分だと感じている。「地方の小規模事業者の声を聞き、必要なところに支援が行き渡る政策を示して」と訴える。

 霧島市の観光施設「バレルバレー・プラハ&Gen」は、再三の緊急事態宣言で休業を迫られた。経営する山元紀子さん(64)は、団体客の減少など旅行スタイルの変化もコロナ禍で加速したとみる。「需要喚起や経済対策が一過性に終わってはいけない。地方の人口減少を見据え、新たな観光創出につながる論戦を聞きたい」と注目する。

 感染拡大でコメの需要も低迷した。霧島市のコメ農家・鎌田陽一さん(46)は「米価の安定のためには、とにかく余らせないことだ」と指摘。輸出や加工など付加価値をつけて販路を多様化することが欠かせないとして「10年、20年後を見据え、需要を創出するような政策を」と期待した。