〈衆院選 鹿児島2区〉奄美の保守票 争奪戦 前職・金子さん「出身者に任せて」 前知事・三反園さん「第2の故郷」強調

 2021/10/18 11:47
 19日公示、31日投開票の衆院選を控え、鹿児島2区で立候補を予定する2陣営が奄美の保守票を巡り動きを強めている。奄美の投票率は本土より高く、有権者数は2区全体の約4分の1を占める重要地域だ。瀬戸内町出身の自民前職金子万寿夫さん(74)の陣営は「奄美のことは出身者に任せて」と地盤固めに余念がない。元鹿児島県知事の無所属新人三反園訓さん(63)は知事時代に訪れた奄美を「第二の故郷」と訴え、切り崩しを狙う。

 「島のことは皮膚感覚で分かる」-。公示直前の16、17の両日、奄美本島入りした金子さんが訴えた。5市町村6カ所で打った街頭演説には奄美選出の3県議や、金子さんの推薦を決めた公明党の議員らも並んだ。各首長がリレーでマイクを握り、組織力を前面に押し出した。

 故郷・瀬戸内ではスーパー前に人だかりができた。鎌田愛人町長(58)は「奄美の心を一番分かっているのは金子さん。島に何回足を運んだかは問題ではない」と、「知事時代に27回奄美入りした」とアピールする三反園さんをけん制。奄美市住用の保育所職員女性(45)は「島のことは島の人じゃないと。三反園さんが言う『第二の故郷』の意味がよく分からない」と話す。

 2017年の前回衆院選での区割り見直しで、2区には旧3区だった南さつま市、枕崎市などが加わった。有権者に占める奄美票の割合は30%超から25%程度に下がり、本土票の比重が増した。金子さん陣営は「奄美選出の国会議員の灯を消してはならない」と危機感を強める。

 前回選挙では、自民を離党した瀬戸内出身の元県議が立候補し、奄美の保守票分裂が懸念された。今回、元県議の後援会長を務めた自民元県議の与力雄さん(76)=奄美市=は金子さんの応援に回った。23年度末に期限切れを迎える奄美群島振興開発特別措置法延長を見据え「奄美一丸で地元のために働く議員を国政に送らなければ」。

 ただ、「4年前の敵を支援できるか」と内輪の“しこり”を懸念する声も。16日夜、奄美市名瀬であった金子さんの講演会には、友好団体や支援者ら約150人が集まったが、ある関係者は「裏では三反園さん側の人もいる」と漏らす。

 奄美には、金子さんのこれまでの政治姿勢を疑問視する自民支持者もいる。奄美群島の50代の建設業者は観光振興や発信力に期待し、三反園さんを支援する。「奄美のために懸命に仕事をするかどうかと、出身者かどうかは関係ない。変化を求める若い人を中心に三反園さんへの支持が広がっている」と明かす。

 元県議で共産新人の松崎真琴さん(63)の陣営も奄美での戦いを重視する。前回、2区の共産候補は金子さんの得票に遠く及ばなかった。今回は前職と元知事の保守票争奪戦が予想され、野党共闘で逆転する構想を描く。19日は鹿児島市での出発式後に奄美入りする予定で、米重均選挙対策部長は「保守分裂はチャンスだ」と力を込める。
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