〈詳報〉霧島神宮、国宝指定へ 社殿の彫刻・絵画「建築装飾意匠の集大成」と評価

 2021/11/19 21:33
きらびやかに装飾された霧島神宮の社殿内部
きらびやかに装飾された霧島神宮の社殿内部
 国の文化審議会は19日、霧島市の霧島神宮本殿・幣殿・拝殿を国宝(建造物)に指定するよう、末松信介文部科学相に答申した。鹿児島県内の文化財が国宝に指定されるのは、1964(昭和39)年の太刀銘国宗(工芸品)以来2件目で、建造物では初めて。近く官報の告示により指定される。

 審議会は、建物に施された彫刻や絵画など色鮮やかな装飾を「近世に発達した建築装飾意匠の集大成」と位置づけた。中でも、本殿前面の龍柱(りゅうばしら)について、琉球や中国といった東アジア文化圏の影響を指摘した。また社殿の構成も高く評価。建物は急勾配の階段でつながっており、山の斜面に屋根が連なる眺めが崇高さを演出している。

 霧島神宮は6世紀、高千穂峰と御鉢噴火口の間にある脊門丘(せとお)に開かれたのが始まりとされる。霧島山の噴火や火災で移転を繰り返し、15世紀に現在地へ至った。

 現在の社殿は1715(正徳5)年、薩摩藩主・島津吉貴の寄進で建立された。1989年に国の重要文化財(重文)の指定を受けた。

 社殿は本殿、幣殿、拝殿、登廊下、勅使殿が1列に並ぶ。本殿から拝殿までが1棟として、国宝の指定を受ける。登廊下や勅使殿は明治期に補われた部材が多く、重文にとどまる。社殿は通常、立ち入ることができない。

 文化審議会は同日、鹿児島神宮(霧島市)を重文指定するよう答申した。県内の国宝・重文は41件、うち建造物は12件。全国の建造物では重要文化財2540件、うち国宝229件となる。

 ■国宝・重要文化財建造物

 一定の価値や典型性のある建築物や土木構造物を、国が重要文化財(重文)に指定する。その重文の中で世界的に価値が高く「たぐいない国民の宝たるもの」と認められるものが国宝に指定される。二条城(京都府)や厳島神社(広島県)、九州では宇佐神宮本殿(大分県)、大浦天主堂(長崎県)などがある。重文建造物には、修理費の国庫補助や税制優遇などの助成措置がある半面、現状変更には許可が必要になる。国宝は重文の一種のため、国宝になっても助成などの変更はない。