「国宝にふさわしい」と建築専門家が絶賛 霧島神宮の優れた魅力とは?

 2021/11/20 08:10
極彩色を施された本殿の龍柱=霧島市の霧島神宮
極彩色を施された本殿の龍柱=霧島市の霧島神宮
 国宝指定の答申を受けた霧島神宮の社殿はきらびやかな装飾に彩られた圧倒的な内部空間、斜面を利用し自然と調和した建物の配置といった、約300年前の建築技術が高い評価を受けた。神宮を調査してきた建築の専門家は「国宝にふさわしい」と絶賛する。

 「極彩色に囲まれたすばらしい内部空間。龍柱のボリュームは圧倒的」とたたえるのは熊本大学工学部の伊東龍一教授(63)。2本の龍柱は高さ約4メートル、巻き付いて昇るように龍と雲が彫られている。

 「中国や琉球から伝わったもので、華麗な色使いにも大陸との共通点がある」。アジアに開けた南九州ならではの装飾と強調。詳しい制作方法は分かっておらず、指定を機に研究が進むよう期待する。

 長年、鹿児島県内の寺社建築を研究してきた土田充義・鹿児島大学名誉教授(86)=福岡市=は自然と共存するための工夫に注目。本殿の周囲に巡らせた庇(ひさし)や霧よけの壁が、雨や湿気から建物と装飾を守ってきたとみる。「霧島山と一体化した、国宝にふさわしい建物だ」と語った。