【連載・非正規公務員に明日はあるか④】任用職員の8割が女性 年収200万円以下は5割超 「女性で非正規、二重の差別構造がある」
2021/11/23 08:35

正規、非正規の壁を超えて仲間として活動する県高教組司書部の女性たち=鹿児島市(画像は一部加工してあります)
女性は数年前に非正規の相談員になった。悩みを丁寧に聞き取り、相談者に寄り添う。時にはDV加害者の電話もくる。「しんどいが、困っている人の支えになりたい」との熱意が支えてきた。
だが会計年度任用職員になっても待遇は低く、毎年度の公募で先は見えない。「法律や心理の勉強を重ね、経験を積んできたのに、自分はこの程度なのか、と自信を失ってしまう。専門員としての仕事を評価してほしい」
女性のSOSを受け止める相談員も苦しい立場に置かれている。
■調整弁
総務省の調査(2020年4月)によると、任用職員約62万人のおよそ8割は女性だ。女性相談員や消費生活相談員、ケースワーカー、保育士など、市民との接点で働く人も多い。
非正規公務員の民間団体「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」(東京)が今年実施した調査で、有効回答した1252人のうち、年収200万円未満が5割を超えた。
「女性の仕事は『家計の補助』とみなす風潮が根強くある」。「はむねっと」のメンバーで、鹿児島市職員労組・会計年度任用職員部役員の野田千佐子さん(58)は指摘する。
主に生計を担っている女性でも、7割が年収250万円未満。「女性で非正規という二重の差別構造がある」と野田さん。
本来「働き方の模範」を示すべき公務員制度が、女性を雇用の調整弁にして、ワーキングプア(働く貧困層)を作り出している。
■つながり
「配偶者の扶養の範囲内で短時間で働きたい」という任用職員も多くいる。年齢は幅広く、目的や意識も異なる。
しかし、野田さんは「何より、『非正規が意見を言うなんて』と控える風潮が強い。『議を言うな』の風土が色濃く残る」と言う。「一人一人に声を上げる権利があると知ってほしい」
処遇改善を目指した会計年度任用職員制度は、正規と非正規に溝を生み、格差を広げていないだろうか。
県高教組の司書部は任用職員と正職員が仲間としてつながり、活動する。メンバーは全員女性。「司書の全員正規化」を目指し、学習会を開き、研さんを積む。50代の正職員は「正規・非正規に関係なく、いい司書になるため頑張っている。力を合わせて、働く人を大切にする職場環境を築きたい」と話した。(つづく)
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