バナナ、オレンジ、リンゴ… 香り系芋焼酎拡大中 ラベルもおしゃれに

 2021/11/25 11:05
田苑酒造の「DEN-EN FLAVOR」シリーズ
田苑酒造の「DEN-EN FLAVOR」シリーズ
 フルーツのような香りをうたった本格芋焼酎が増えている。仕込みや蒸留、ブレンドなどを工夫し、果実の香りを再現。商品名やデザインも洋酒のようで、焼酎になじみのない女性や若者ら新たな層を捉えつつある。

 小正醸造(日置市)が昨年3月から売り出す「小鶴 the Banana」は、甘い香りがまるでバナナのようだ。白ブドウ由来のワイン酵母を使う。生産本部の枇榔誠次長(39)は「芋の品種でフレーバーを変えてきたが、今度は発酵の条件に着目した」と話す。

 酵母は糖を分解し、アルコールを生み出す際、香り成分も生じさせる。酵母の種類によって出てくる香りが異なるという。気圧を下げて沸点を低くした減圧蒸留により、華やかな香り成分を抽出、もろみの焦げ臭さや芋臭さも抑えてフルーティーさを際立たせた。

 商品名やラベルでもバナナを強調。経営戦略本部の永井雄介次長(37)は「香りをピンポイントで伝える方がイメージしやすく、興味も湧くはず」と語る。

 田苑酒造(薩摩川内市)が7月発売した「DEN-EN FLAVOR まるでリンゴ」は清酒酵母を使う。通常の1.5倍の日数をかけて低温でじっくり発酵させ、吟醸酒に特徴的な果実のような香りを引き出した。仕上げに複数の原酒をブレンドし、リンゴの優しい甘さを再現した。

 シリーズはマスカット(芋)やメロン(麦)など計5種類あり、いずれも清酒酵母やワイン酵母を使用。ラベルは化粧品のメークパレットをイメージした。洋酒のように、それぞれに合う食べ物も提案している。

 杜氏(とうじ)の松下英俊さん(39)は「香り系焼酎は今のトレンド。焼酎造りの技術が進歩する中、いろんな味わいがあることを広く知ってほしい」と力を込める。

 香りに特化した焼酎は従来の焼酎ファンとは異なる消費者をつかんでいる。かんきつが香る国分酒造(霧島市)の「フラミンゴオレンジ」は2018年の発売以来、特定の専門店でしか販売しない限定流通ながら若い女性を中心に支持を集める。

 サツママサリという芋を独自技術の芋こうじと県工業技術センター開発の「鹿児島香り酵母1号」で仕込んだ。女子大生がデザインを手掛け、華やかな香りに似合うこじゃれたボトルに仕上がった。

 口コミで人気に火がつき、今でも年間千件ほどの問い合わせが来る主力商品に成長。笹山護社長(55)は「フラミンゴをきっかけに国分酒造を知った人が多く、転機になった焼酎。新しい層の開拓につながっている」と実感する。
広告