芋焼酎が造れなくなる? 基腐病でサツマイモの品薄深刻 焼き芋店、酒造会社は仕入れに苦慮
2021/11/26 11:08

鹿児島県産の焼き芋などを販売する専門店「3515」。基腐病拡大で仕入れに苦心している=鹿児島市中町
鹿児島市中央卸売市場の荷受けを担う鹿児島青果、鹿児島中央青果によると、今季の県産サツマイモは基腐病対策の一環で早掘りが進み、出荷が前倒しされていた。さらに8月中旬の長雨後に発病する農場が続出し、出回り量が急減した。
鹿児島中央青果の植園博野菜部長(63)は「普段なら県産が7割を占める時期だが、今は既に他県産が主流。農家は貯蔵中の発病を恐れて収穫後すぐ出荷しており、産地のストックはほとんどないようだ」と指摘。12月以降、品薄が一段と強まる可能性が高い。
■確保に苦心
鹿児島市の「焼き芋&スイーツ専門店3515(さんごじゅうご)」では、夏ごろから数量確保に苦心する状況が続く。「発病による廃棄に加え、早掘りの影響で小玉化している。いずれ販売サイズを変えるなど売り方を工夫する必要が出てくるかもしれない」と房野麻乃店長(28)。
唐芋菓子専門店を運営するフェスティバロ社(鹿屋市)もコガネセンガンを中心に原料用の芋が計画量の8割ほどしか確保できず、商品のベースとなるペーストの加工を予定より約1週間早い22日に打ち切った。ただ、在庫があるため、製造に影響はないという。
サナス(鹿児島市)は昨年、サツマイモを原料としたでんぷんの製造量が平年の6割程度にとどまった。今年はさらに落ち込むことが見込まれるという。原料対策課の加治佐博課長(44)は「県内各社の工場稼働率も下がっている。もともと高齢化などでイモの生産は減っており、基腐病が拍車をかけた」と話す。
■厳しい安納芋
安納芋での被害も深刻だ。市場関係者は「昨年も基腐病の被害を受けて作付面積そのものが減っており、入荷量が極端に少なくなっている」と口をそろえる。
西之表市で生産・加工を手掛ける西田農産は、生芋の出荷を取りやめて加工用などに回し、なんとか在庫を確保している状態。西田春樹社長(67)は「従来の取引先にも十分に供給できず、新規の注文は断っている」と危機感を募らす。
安納芋を使った焼酎を製造する南さつま市の蔵元は、10月下旬から仕込みに入る予定だったが、まとまった量を確保できるまで1カ月ほど遅らせた。製造責任者は「今後は単価の高い青果用に出荷が集中し、焼酎用が足りなくなるのではないか」と不安を口にした。
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