「久しぶり、会えたね」直接対面に笑顔  高齢者施設や病院 制限緩和の動き広がる コロナワクチン接種など条件

 2021/11/29 21:20
入所中の母親と面会する姉妹。間近で表情を見ながら再会を喜んだ=鹿児島市西別府町の特別養護老人ホーム松恵園
入所中の母親と面会する姉妹。間近で表情を見ながら再会を喜んだ=鹿児島市西別府町の特別養護老人ホーム松恵園
 鹿児島県内で新型コロナウイルスの感染が落ち着き、高齢者施設や病院で入所者・入院患者と家族の面会制限を緩める動きが徐々に広がっている。ワクチン接種を条件にしたり、時間や人数に上限を設けたりと工夫し、対面で交流する機会が戻りつつある。厚生労働省は直接面会の再開を検討するよう求めるが、今後の感染状況を懸念し「慎重に考える」と制限を続ける施設もある。

 「久しぶり。会えてうれしいよ」。26日、特別養護老人ホーム松恵園(鹿児島市)を訪ねた宇都悦子さん(61)、辻順子さん(59)姉妹は、入所中の母親(86)に語り掛けた。辻さんは昨春以来の直接面会。「窓越しに携帯電話で話したことはあったが、やりとりは難しい。直接会えるのはやっぱり全然違う」と笑みがこぼれた。

 松恵園はまん延防止等重点措置の解除を受け、10月半ばから対面での面会を再開した。予約制で、ワクチン接種を終えた18歳以上2人まで。玄関横にアクリル板越しのブースを設け、多くの人が利用できるよう週1回・月2回までとする。

 生活相談員の小原努さん(43)は「家族に会えて、目に見えて食欲や活動量が増える入所者もいる。部屋を自由に出入りしてもらえる状況が1日も早く戻ってほしい」と願う。

 出水総合医療センター(出水市)は11月8日から、1年4カ月ぶりに面会禁止を解き、病室で会えるようにした。出水医療圏(出水市、阿久根市、長島町)内で感染者ゼロが続き、「面会は患者さんの精神的なケア、ご家族の安心感につながる」と検討を重ねた。

 感染リスクを抑えるため「1回15分以内」や「平日に医療圏内の中学生以上2人まで」を要件とする。体質などでワクチンを打てない人もいるため、接種の有無は確認にとどめる。

 一方で、高齢者や病気を持つ患者が感染すれば重症化するリスクは高く、再開の判断に悩む施設も少なくない。介護・看護の現場は密着する場面が避けられず、感染が広がりやすい側面もある。

 鹿児島市の特養清谿園(せいけいえん)は、コロナ前から11月以降はインフルエンザの流行を懸念し、面会中止や場所を制限する措置を取ってきた。原田俊施設長(71)は「コロナもインフルエンザも感染状況は読めず、すぐに緩和するのは難しい。窓越し面会でも話はできるので状況を見守りたい」と話した。