寅年だろうが関係ない 2022年は和牛が熱い 質、量ともに日本一 鹿児島の実力とは

 2022/01/01 11:05
A5ランクのヒレステーキ塩焼き
A5ランクのヒレステーキ塩焼き
 えとが寅(とら)に代わろうが、鹿児島の主役は今年も牛だと言いたい。10月には「和牛のオリンピック」といわれる全国和牛能力共進会が霧島市と南九州市で開かれる。質、量ともに日本一の和牛王国の実力に迫る。

 和牛のうまさはサシと呼ばれる脂身にある。「鹿児島の牛は餌にこだわって育てられ、サシの質が良い」。こう話すのは城山ホテル鹿児島(鹿児島市)のレストラン「鉄板焼 楠」の木下泉料理長(59)。焼いたときに甘みが出る上、くどくないそうだ。

 松阪牛、神戸ビーフといった有名ブランド牛にも肉質で引けを取らないという。でも、おうちでおいしく焼けるのだろうか。木下さんによると、焼く前の肉の温度が肝心らしい。

 「軟らかく仕上げるには冷蔵庫から出して30分ほど置くこと」とアドバイス。脂身は融点が低く、人の体温くらいで溶け出すので、指で触ってそうなったら焼き時だ。冷凍の場合はまず冷蔵庫内でゆっくり解凍する。

 奮発して、A5ランクのヒレステーキを木下さんに焼いてもらった。ピンク色の赤身に真っ白な霜降りが映える。ジューッ。常温に戻してから焼いているため、ナイフで切ってもあふれ出る肉汁は少ない。うまみを閉じ込めた肉にわさびをのせて頬張った。脂がとろけ、口いっぱいに広がっていく。和牛、サイコー!

 ■人より牛の方が多いまちも

 農林水産省の畜産統計(2021年2月1日時点)によると、鹿児島県では全国トップの33万6600頭の和牛が飼われている。シェアは18%を占める。

 市町村別の県内1位は、鹿屋市が断トツの5万1426頭。2位は曽於市の3万456頭で、指宿市、霧島市、志布志市と続く。

 徳之島や種子島など離島でも多く飼養されている。子牛の繁殖農家がほとんどで、農作物より利益率が高い上、サトウキビ栽培と複合経営ができ、餌代も安く済むことが背景にある。三島村、十島村、与論町、天城町では人口よりも牛の数の方が多い。

 例外は大和村で、県内唯一のゼロ。村によると、10年ほど前までは育てている農家もいたが、高齢化や牧草地が少ないため、今は果樹栽培が主力になっているという。

 都道府県別の飼養頭数2位はお隣宮崎の22万6500頭。以下、北海道、熊本、沖縄、長崎、岩手、宮城、佐賀、兵庫の順。九州・沖縄はトップ10に6県がランクインし、「和牛アイランド」といえそうだ。

 ■消費額では16位 3位奈良、2位京都、1位は…

 2020年の総務省「家計調査」によると、県庁所在地の1世帯当たりの牛肉消費額で鹿児島市は16位(年間1万9949円)だった。

 全国トップ3は大津市(3万3464円)、京都市(3万2703円)、奈良市(3万2274円)。4位の和歌山市(2万5467円)を大きく引き離す。日本三大和牛と称される近江牛、神戸ビーフ、松阪牛の産地から近いことも影響しているようだ。

 ちなみに、鹿児島市の豚肉消費額は2万4329円で、全国15位。鶏肉は1万6771円、2位だった。鹿児島県はいずれも牛肉と同様に国内屈指の産地。焼き肉やすき焼き以外にも豚骨、鶏刺しなど多彩な肉料理の食卓が浮かび上がる。