和牛の経済効果701億円 鹿児島 10〜19年、大河「西郷どん」の2.7倍 20年後は国内消費2割減 南日本新聞・KER共同調査

 2022/01/01 09:21
 南日本新聞社と九州経済研究所(KER)の共同調査で、鹿児島県の和牛産出額が2019年までの10年間で1.8倍に伸び、県内で701億円の経済効果を生んだことが分かった。NHK大河ドラマ「西郷どん」の2.7倍に当たる。和牛の国内消費額は人口減少などから2040年には2割近く減ると試算。産地として成長していくには国内外で新たな需要喚起策が欠かせない。

 鹿児島県は和牛飼養頭数が全国トップ。観光と並び基幹産業である農業の稼ぎ頭になっている。畜産を取り巻く情勢に厳しさが増す中、持続可能性を探るためKERと調査した。

 農林水産省の畜産物流統計などを基に算出した県内の和牛産出額は、10年の579億円から19年は1064億円に伸びた。和牛の霜降り肉は海外でも知られ、インバウンド(訪日客)の増加が需要を押し上げ、子牛価格の高騰も寄与した。

 産出額の増加により食品製造や運輸といった関連産業も潤い(1次効果)、新たな消費が生まれた(2次効果)ことによる経済効果を総額701億円と算出した。18年の放送を機に観光客が増えた「西郷どん」は258億円(KER試算)で、和牛生産は効果が一過性でないことを踏まえると貢献度は大きい。

 和牛の国内需要についても、人口や食料消費の国の将来推計を基に40年まで予測した。年間消費額は20年の8897億円から、人口減などで30年に8091億円に低下、40年には17.4%減の7342億円と見込んだ。

 和牛を巡っては、新型コロナウイルスの流行が長期化し、需要増をけん引したインバウンドの復活は今なお不透明で、国内では健康志向の高まりから消費者離れも懸念されている。

 KERの福留一郎経済調査部長は「食の多様化や嗜好(しこう)の変化を見据えた生産力の強化、巨大な海外市場の販路開拓・拡充の2本柱で対策を練る必要がある」と指摘する。
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