臍帯血が脳性まひ改善に有効 高知大で臨床研究 再生医療での活用広がる

 2022/01/09 08:34
臍帯血治療後に太ももの筋肉が発達し、足首のわん曲が改善した(母親提供)
臍帯血治療後に太ももの筋肉が発達し、足首のわん曲が改善した(母親提供)
 赤ちゃんのへその緒や胎盤から採取される臍帯血(さいたいけつ)を利用した再生医療に注目が集まっている。脳性まひの子どもに投与する高知大学の臨床研究では、鹿児島県姶良市の5歳男児らが、寝たきりから歩行器で歩けるようになったり、文字が書けるようになったりと、運動・知能面で改善が見られた。白血病や再生不良性貧血といった重い血液の病気治療だけでない活用が期待されている。

 高知大学では2017年から1~7歳未満の脳性まひの子どもに臍帯血を投与する臨床研究を実施している。21年12月末時点で、自分の血を用いた6人と、兄弟間で投与した5人の計11人に行い、歩行などの運動面のほか、一部の人には知能面での改善が見られた。

 10月に臨床研究を受けた姶良市の5歳男児は、出生後に脳性まひの一つである「脳室周囲白質軟化症」の診断を受け、運動機能障害や知的障害があった。家族によると、臍帯血を投与した夜には、滑舌が良くなるなどの効果が出始めた。翌日には手の動きがスムーズになり、文字を書いたり、箸を使えるようになったりしたという。翌週には、太ももの筋肉の発達に伴い、歩行器を使って散歩をするまでに改善した。

 運動機能だけでなく知能面でも効果が表れた。言語理解といった知能検査の平均点が大幅に改善したという。家族は「当初はどんな効果があるのか不安もあったが、治療後に息子の可能性が広がりうれしい」と話した。

 高知大によると、臍帯血の投与は点滴で行われ1日で終了する。早い人では、翌日に握力が強くなるなどの効果が出るという。投与後半年間にわたって改善し、リハビリと併用すると3年間はその効果が続くことが分かっている。

 高知大医学部小児思春期医学の藤枝幹也教授は「臍帯血には再生能力を高める可能性がある細胞が多く含まれている。将来的には保管する細胞バンクの普及が進み、多くの人が利用できるようになれば」と話している。

 ■臍帯血

 赤血球、白血球などの元になる造血幹細胞が多く含まれ、重い血液の病気治療に使われてきた。さまざまな細胞に変化する幹細胞も多く、傷ついた部位の再生能力を高める働きがあるとされる。採取は新鮮な血液が採れる出産時のみで、痛みはなく母子の負担は少ない。保管費用は公的バンクは無料だが、治療対象者は選べない。有料の民間バンクは、現時点では治療に使えない。ただ許可された臨床研究では自分自身や家族に使える。
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