沖縄上回る感染ペースの奄美大島 「窮状伝わっていない。孤立無援になる」 救急救命に影響も 新型コロナ・鹿児島

 2022/01/13 11:04
ドクターヘリで搬送された患者の対応に向かう医療従事者ら=12日、奄美市の県立大島病院(高間辰雄医師提供)
ドクターヘリで搬送された患者の対応に向かう医療従事者ら=12日、奄美市の県立大島病院(高間辰雄医師提供)
 奄美大島5市町村で新型コロナウイルス感染が急拡大している。奄美市の10万人当たりの感染者数が沖縄県を上回り、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)。通常の医療に影響が出始めている。島の医療の中核を担う鹿児島県立大島病院(同市)の医師が南日本新聞の取材に応じ「このままでは救急救命に影響が出る。県本土でも拡大すれば、必要な支援が得られず島が孤立無援になるのではとの不安が常にある」と訴えた。

 島内の新規感染者は、奄美市を中心に7日57人、8日111人、9、10日が各75人、11日59人、12日65人と推移。奄美医療圏での自宅待機は438人(11日時点)にのぼる。同院の調査によると、5~11日の奄美市の人口10万人あたりの感染者数は887.4人(県全体は42.27人)と沖縄の535.5人を上回った。

 「県全体の感染者数に埋もれ、全国に奄美大島の窮状が伝わっていないのではないか」。大島病院の高間辰雄救急救命センター長は危惧する。

 大島病院は、脳卒中や心筋梗塞、重傷など重篤な患者に対応する3次救急医療機関。ドクターヘリも運航させ、奄美群島約11万人の救急医療の「最後のとりで」として24時間365日体制を敷く。ところが、感染拡大で、救急病床を半分に削減するなど体制を縮小。急患対応の一部を奄美中央病院や名瀬徳洲会病院に依頼するなどし夜間の電話相談体制を維持している。

 高間センター長は「仕事始めの4日、発熱を訴えて来院したほとんどの人が感染していた」と説明。さらに職員11人や患者を含め14人(11日時点)も感染した。受診した乳幼児の感染も複数確認され、接触したスタッフたちは濃厚接触者となり2週間の隔離に。現在センターは医師6人、看護師31人の体制だが「濃厚接触者にはドクターヘリ運航に関連する人もいる。数人でも大きな影響がある」。

 島内でもオミクロン株が主流になりつつある点に触れ「デルタ株とは異なり、重症化につながるような肺炎を発症するケースは少ない印象がある」と話す。ただ「感染力が強く、どこに感染源があるか分からない状態。問診では感染経路や接触者が追い切れなくっている」と警戒する。

 「今後、若年層から高齢者へ波及する可能性が高い。重症化の可能性が低いから大丈夫ということではない。来院する全ての人が感染疑いとして対応しなければならず、割かれるマンパワーは甚大だ」と語る高間センター長。「重篤な患者の治療は時間との勝負。離島医療の生命線となる救急医療を守らなければ、という重圧は途方もない」と心中を明かした。
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