里親支援の「フォスタリング機関」 九州沖縄で鹿児島のみゼロ 福岡4、熊本は3カ所設置

 2022/01/14 15:00
 被虐待児らを預かる里親を包括的に支援する民間の「フォスタリング機関」が、九州・沖縄8県のうち鹿児島県のみ未設置だったことが13日、南日本新聞社の調べで分かった。国は虐待などから子どもを守るため、民間機関の設置を推奨している。県内に複数設置する自治体もある中、鹿児島の取り組みに遅れが目立つ形だ。

 鹿児島以外の各県の内訳は福岡4カ所、熊本が3カ所。佐賀、長崎、大分、宮崎、沖縄は各1カ所。運営主体はNPO法人や社会福祉法人で、行政の委託を受け業務に当たる。最も多い福岡県は、県内6カ所の児童相談所(児相)ごとに置くことを目指し、2022年度までに2カ所追加する計画。熊本県は県内に3カ所ある児相ごとに設置ずみ。その他の県は数を増やす計画こそないものの、機能充実を図っている。

 鹿児島県は、主に中央児相の里親推進班4人が里親支援にあたる。県子ども家庭課は「名乗りを上げる民間団体があれば連携を検討する」としているが、行政を補完する民間機関の設置見通しは立っていない。

 国は16年に児童福祉法を改正。子どもの健やかな成長のため家庭に近い環境での養育を優先する理念を明記した。さらに未就学児の里親委託率を75%へ引き上げる目標を掲げ、フォスタリング機関の設置を推奨。18年に各自治体へ通知を出している。

 鹿児島の現状について、制度に詳しい鹿児島女子短期大学の平本譲准教授(56)=子ども家庭福祉学=は「児童福祉の専門職が足りないからでは」と分析。「設立するノウハウや利点が県内で共有されていない。先進的な他県の情報収集を進めるべきだ」と訴える。

 ■フォスタリング機関

 里親募集や研修、委託後の相談対応、制度の普及・啓発といった児童福祉法で定める里親支援業務(フォスタリング業務)を包括的に行う機関。業務は児童相談所など都道府県で本来担うが、知事からの委託を受け民間で行うことも可能。国は2016年の法改正を機に、里親制度拡充のため民間活用を求めている。フォスタリングの語源となるフォスター(foster)は「養育する」の意。
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