不快害虫ヤンバルトサカヤスデ 薬剤散布は今でしょ 「春・秋の防除で交尾抑制」「夏~秋、雨後の晴天に大量発生」  錦江湾高生が調査

 2022/04/07 11:40
ヤンバルトサカヤスデの侵入防除について調査研究した福田千佳さん(左)と瀬戸山凌汰さん=鹿児島市の錦江湾高校
ヤンバルトサカヤスデの侵入防除について調査研究した福田千佳さん(左)と瀬戸山凌汰さん=鹿児島市の錦江湾高校
 鹿児島県立錦江湾高校の生物研究部が、不快害虫ヤンバルトサカヤスデの調査研究に取り組んだ。活動が活発な夏から秋にかけて雨が降った後の晴れた日に大量発生しやすいことや、秋と春の薬剤散布で交尾を抑制できる可能性が明らかになった。生徒たちは「ヤスデの侵入防除に少しでも役立てばうれしい」と話している。

 同部の3年福田千佳さんら4人。昨年7月から10月まで同校で発生した計1145個体を分析。降雨後の晴天の日に、出現数が増加したことを突き止めた。群生したヤスデは9月中旬までほとんどが雌で、それ以降、雄の割合が増えたという。福田さんたちは「大量発生しやすい天気の日や、秋と春の防除に力を入れることで発生を抑えられるのではないか」と考察する。

 さらに県のデータを解析し、ヤスデは特に南薩地方で急拡大しているものの、北薩、姶良、霧島は急速な拡大は見られなかった。ただし、2014年にヤスデが侵入した鹿屋市は発生地点が増加傾向にあり、大隅半島南部へ広がる恐れもある。2年の瀬戸山凌汰さんは「封じ込めには、鹿屋市での徹底した防除が必要になる」と話した。

 ヤンバルトサカヤスデは台湾産のヤスデの一種で、体長20~35ミリ。人をかんだり刺したりしないが、県内各地で大量出現が問題になっている。同校はヤスデの防除研究に取り組み、これまで効果的な策として養生テープを貼るアイデアを考案した。