ブラジル国花・イペーに心奪われた夫、死の間際まで「日本中に広げたい」 遺志継いだ妻、10種100本栽培 普及へ〝種まき〟

 2022/04/23 21:00
夫の夢を引き継いだ前田賞子さん=霧島市国分川内
夫の夢を引き継いだ前田賞子さん=霧島市国分川内
 ラッパ状の黄色の花弁が鮮やかなイペー。霧島市国分川内の前田賞子さん(78)は、南米原産の花木を日本中に広めようとした夫・久紀さん=享年79歳=の遺志を継ぎ、約10種100本以上の世話を続ける。今年は4月上旬に咲き始め、「6月には種ができる。興味のある人は栽培に挑戦して」と呼び掛けている。

 製鉄会社に勤めていた久紀さんは1970年代、ブラジルに1年間赴任。あちこちで咲く国花のイペーに心を奪われた。その20年後、鹿児島市の木市で見かけ、庭に植えた。育てるうちに「この美しい花が全国で見られたらいいな」と思うようになったという。

 課題は寒さに弱く、日本では開花しないケースが多いこと。2000年以降、南米から約100種類の種を取り寄せ、試験栽培や交配を重ねた。12年に畑にまいた種が、氷点下9度にさらされた後でも開花したことから「池前アルバ」と名付けて商標登録した。

 胆のうがんを患った久紀さんは、19年8月亡くなった。死の間際「やり残したことがあるのでは」と漏らす夫に、賞子さんは「イペーは私がやるからね」と声をかけた。イペーの普及に心を砕き「エネルギーの塊のような人だった」と振り返る。

 賞子さんは、南国分郵便局近くの自宅と畑でイペーを育てる。「丈夫で管理は難しくない。夫との約束を果たすため、多くの人に花の魅力を知ってほしい」と話す。