感染急拡大中の鹿児島市で3カ月以上クラスターなしの謎… 認定作業休止していた 新型コロナ
2022/04/27 08:33

クラスターについて会見する鹿児島市の職員=1月17日、市役所
オミクロン株による感染者急増を受け、厚生労働省は1月中旬、保健所の負担を減らすため、地域の実情に応じて調査を縮小することを認める通知を出した。
鹿児島市は、国の実施要領に定める「発症2週間前」までさかのぼっていた調査を「2日前」に縮小。クラスターは1月17日に28〜32例目を発表して以降、認定していない。新型コロナウイルス感染症対策室の有森武志室長は「感染経路を見つけるより、誰に広げる恐れがあるか濃厚接触者を特定することに重点を置いた」と説明。その上で「発症2日前の調査だけでは、例えば同じ学級で5人以上の感染者が出ても、それぞれが別の場所で感染した可能性を否定できない」と認定休止に理解を求める。
市の感染者は1日500人を超える日が相次いでいる。保健所は通常の3倍以上の170人態勢で、連日深夜まで濃厚接触者らの対応に当たっているという。
一方、九州他県の県庁所在地の保健所(市単独の保健所がない佐賀は除く)も軒並み調査期間を「発症2日前」に短縮したが、クラスター認定は続けている。鹿児島市以外に保健所を置く鹿児島県も発症2日前の調査を基に発表している。
宮崎市の担当者は「認定は従来より厳密ではないが、集団感染の傾向が分かり市民への注意喚起になる」。那覇市は「認定が遅れることもあるが、関係機関との情報共有や対策につなげるためにも必要」という。
福岡市や熊本市は、濃厚接触者の特定を高齢者施設や医療機関に重点化している。熊本市の担当者は「濃厚接触者を特定しない事業所などのクラスターは把握しきれていない可能性がある」とし、認定の実情は変わってきているようだ。
鹿児島市の主婦(45)は息子の学校の部活動で多くの感染者が出たのに発表がない理由が分からなかったという。「認定作業を休止するなら説明すべきだ。『子どもの感染が増えた』という情報だけでは、注意するポイントもよく分からない」と戸惑う。
感染症に詳しい鹿児島大学大学院の西順一郎教授は「感染が急速に広がる中、全てのクラスターを追跡するのは難しい。ただ一定の啓発効果はあるので影響の大きい高齢者施設や医療機関だけでも認定は続けた方がいい」としている。
■クラスター
感染者の集団を意味する。新型コロナウイルスのクラスターについて、厚生労働省が「同じ場所で5人以上のつながりのある感染者が出た場合」と目安を示している。各自治体による認定や発表に法的義務はない。
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