県都の感染者なぜ多い? 鹿児島市、県全体の6割超 専門家「濃厚接触者の検査広すぎる」 3回目ワクチン接種率も全国以下

 2022/04/30 08:30
5月1日まで実施されている鹿児島県のワクチン大規模接種=鹿児島市の「Li-Ka1920」
5月1日まで実施されている鹿児島県のワクチン大規模接種=鹿児島市の「Li-Ka1920」
 鹿児島県内で新型コロナウイルス感染が再拡大し、特に鹿児島市で爆発的に広がっている。専門家は学校や家庭内での拡大に加え、市が求めるPCR検査の対象範囲が広く感染者を多く拾い上げている可能性や、10代のワクチン接種率の低さを指摘。市民からは感染対策に役立つ情報提供不足との声も上がる。

 県内の直近1週間(21~27日)の人口10万人当たりの新規感染者数は沖縄、佐賀、北海道に続き、全国で4番目に多い。実数は5518人で、うち鹿児島市発表分は3365人と60%を超える。市人口は県全体の40%に満たない中で、感染者の多さが目立つ。

 市の感染者を年代別でみると、10代が全体の23%で最も多い。10歳未満が17%、親世代の40代、30代がそれぞれ15%と続く。

 感染症に詳しい鹿児島大学大学院の西順一郎教授は、鹿児島市が新規感染者に占める無症状者の割合が多い点に着目する。市が21~27日に発表した感染者のうち、陽性判明時に症状がない人の割合は17%なのに対し、県発表分は9%。東京都のモニタリング会議の資料によると、都は7%(19~25日)だった。

 「症状がない濃厚接触者も検査し、陽性者数を押し上げているのでは。自宅隔離中の無症状者から陽性者を見つけ出しても、感染拡大防止につながらない」と西教授。「濃厚接触者を特定する調査対象を、感染が広がると影響が大きい高齢者施設などに絞り、余力を感染経路の特定に充てた方がいい」と話す。

 厚生労働省は3月中旬、感染力が強い一方、重症化リスクは低いとされるオミクロン株の特性を踏まえ、濃厚接触者を特定する調査対象の重点化を認める通知を出した。

 九州では3月から4月にかけ、福岡市や熊本市が調査対象を医療機関や高齢者施設、同居家族に限定した。鹿児島市は一般事業所を除き、保育園や幼稚園、学校でも濃厚接触者を特定しPCR検査の案内をしているという。

 西教授は12~19歳の3回目ワクチン接種率の低さも一因に挙げる。政府のまとめによると、県内の接種率(24日時点)は7.4%で全国の9.2%を下回る。

 鹿児島市のあおぞら小児科の立元千帆院長(市小児科医会理事)も「都会に比べ、濃厚接触者を広く検査していることが感染者増につながっている」とみる。

 発熱外来は学校が再開した4月中旬から激増し、毎日10人近くの陽性者が出るという。「周りに感染者はいないと言う人がほとんど。集団生活で無症状者から感染が広がっているのだろう。学校が休みの大型連休になれば子どもの感染者は減るのでは」と推測する。

 鹿児島市の会社員男性(66)は、クラスター認定を休止した市の姿勢を疑問視する。「感染はどんな集団や空間で広がり、どんな行動が要因として考えられるのか。感染経路を分析し、市民に情報を伝えなければ、感染は収まらないのではないか」と指摘した。