江戸時代の治水工事が縁 姉妹県盟約50年の鹿児島・岐阜 行政、経済、文化…多彩な交流 3700人が往来 「築いた関係絶やさない」
2022/05/04 11:00

姉妹県盟約50周年記念式典で、岐阜県から贈られたケヤキで作った薩摩琵琶を手にする同県の古田肇知事(左)と塩田康一知事=同県関ケ原町
鹿児島のおはら節に、岐阜の地歌舞伎-。4月24日、岐阜県関ケ原町で開かれた姉妹県盟約50周年記念式典は、郷土色豊かな出し物が花を添えた。それを見守る塩田康一知事と古田肇・岐阜県知事の打ち解けた雰囲気は、両県の良好な関係をうかがわせた。
姉妹県のスタートは1971年7月27日にさかのぼる。当時の金丸三郎・鹿児島県知事と平野三郎・岐阜県知事連名の同日付の盟約書は、宝暦治水工事以来続く「精神的つながり」を挙げ、交流を通じた両県民の融和と繁栄の推進を誓う。
この文面に沿うように、行政の人事交流、歴史や文化を学ぶ青少年の派遣など多彩な交流が繰り広げられてきた。両県の交流事業参加者は2021年度までに計3700人に上る。
このうち、姉妹県の歴史とほぼ重なるのが“教員交換”だ。任期3年で毎年小・中・高校から1人ずつ派遣し合う。高校は盟約締結前の1970年、小・中学校は72年に始まり、本年度までに両県の311人が参加した。
岐阜県岐南町の西小学校教頭、林明彦さん(58)は2012年から3年間、鹿屋市の寿小学校に勤務。大隅半島の農水産物の豊かさに感動し、岐阜に戻ると食育に力を入れた。「児童一人一人が自律し、リーダーシップを発揮していた」。こう映った鹿児島の教育現場に触発され、児童が人前で発表する機会も増やした。「鹿児島の経験が生きている」と語る。
一方、交流を支えてきた民間団体からは、メンバーの高齢化が進み活動停滞を懸念する声も漏れる。鹿児島県薩摩義士顕彰会(鹿児島市)は、ピークで600人を超えていた会員が20年に400人を切った。代表幹事の四本紘さん(79)は「若い人の関心が薄れている」と語る。
だが、岐阜県の養老ライオンズクラブ(大垣市)の前会長で、25年以上前から鹿児島との交流活動を続ける山内久和さん(70)は前向きだ。「築いた関係を絶やしてはならない。両県民が一緒に、優しさや勇敢さ、反骨精神といった薩摩隼人の気概を学ぶ場を設けたい」と意気込む。
◆姉妹県盟約50周年の節目は昨年7月だったが、両県は新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、記念式典を今年4月に延期した。
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