九州4県に育英財団設立、苦学生支え40年 原点は、父を亡くし授業料が払えず大学を除籍になったことだった 元奨学生「感謝しかない」 寿屋創業者・壽崎肇さん死去 96歳

 2022/05/24 10:00
学生支援を続けた壽崎肇さん(2010年1月)
学生支援を続けた壽崎肇さん(2010年1月)
 九州最大級のスーパーだった寿屋(熊本市)創業者の壽崎肇さんが9日、96歳で死去した。1980年から鹿児島を含む九州4県に育英財団を順次設立し、県内の1000人以上の苦学生らに月額1万円の奨学金を無償で贈り続けた。元奨学生は人柄をしのび、感謝する。

 壽崎さんは大分県佐伯市生まれ。1947年に化粧品店を開業後、57年に寿屋を興し、一時は九州・山口に店舗を広げた。

 学生支援は父を亡くし授業料が払えず、大学を除籍になったのが原点だった。寿屋株の一部を売却した資金で1980年に熊本県、90年に鹿児島県に育英財団を設けた。今も4県の大学、短大生計150人が奨学金を受ける。

 鹿児島市の精神科医北島耕作さん(35)は専門書の購入や県外である勉強会の旅費に奨学金を充てた。「己の利益ではなく、みんなが幸せになるために何ができるかを考える人だった。感謝しかない」と悼んだ。

 財団事務局によると、壽崎さんは新型コロナウイルス拡大前まで開かれていた財団の定例会で、「がんばれよ」と一人一人に声を掛け、奨学金を渡した。学生が毎月提出する近況報告の手紙に目に通すのが生きがいだったという。

 壽崎さん死去後は親交が深かった「メガネのヨネザワ」(熊本市)社長の米澤房朝さん(78)が財団理事長に就き、活動を続ける。「未来を担う学生を支援する遺志を受け継いでいきたい」と話した。