米軍無人機7月鹿屋配備へ 米兵が市街地で生活始めたら…「治安悪化が心配」「十分なトラブル対策を」 基地の街に広がる困惑

 2022/05/24 08:30
鹿屋市役所前で米軍無人機配備計画への反対を訴える市民ら=同市共栄町
鹿屋市役所前で米軍無人機配備計画への反対を訴える市民ら=同市共栄町
 防衛省が海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)への米空軍無人偵察機MQ9の一時展開計画を進める意向を明らかにした23日、市民からは「治安悪化が心配」など困惑の声が相次いだ。中国の動向を監視するMQ9が空を飛び、米軍関係者が隣人として生活を始めることになるのか。「基地の街」は岐路に立っている。

 市役所前では同日午後、市民ら約30人が「配備反対」「憲法を壊すな」と書いたプラカードを手に反対集会を開いた。説明会に臨む防衛省の岩本剛人政務官が姿を見せると怒号が飛び交い、シュプレヒコールに力が入った。大隅ブロック平和運動センターの道下勝事務局長(73)は「一度米軍駐留を許せば、なし崩し的に基地化する恐れがある」と語気を強めた。

 折しもこの日はバイデン米大統領と岸田文雄首相が会談し、日米同盟の強化で一致した。「国際情勢を鑑みると計画自体はやむを得ない」。鹿屋航空基地後援会の久永兼愛会長(82)=同市花岡町=は理解を示すが、米軍関係者全員が市街地で生活することに不安があるという。「市民と自衛隊の良好な関係性が、米兵の街中での振るまいに左右されかねない。十分なトラブル対策を」と注文した。

 治安悪化の懸念は子育て世代にも広がる。鹿屋基地前の公園で2〜6歳の子供3人と遊んでいた同市王子町の建設業稲森大海さん(30)は「実感が湧かない」と戸惑う。「もし仮に沖縄のような墜落事故や暴行事件があれば、外で遊ぶ子供たちが心配だ」と漏らす。

 「不安もあるが、経済効果など前向きに捉えることができる一面もある」と話すのは同市笠之原町の飲食店経営前田智久さん(45)=鹿屋肝属法人会青年部会長。「飲食関係者からは期待の声が多い」と明かした。同市向江町のホテル経営加藤俊作さん(44)も「固定の宿泊客を喜ぶ経営者は少なくないはず。ワンフロア貸し切りなど、リスク軽減を図って対応することになるだろう」と語った。

 23日の防衛省との協議では、自衛隊機の飛行音でたびたび会話がかき消された。「7月展開」を繰り返す岩本政務官に、中西茂市長は「これが日常茶飯事。基地負担が増えることは、市民の負担が増えること」と指摘。協議終了後、「7月という要請はあるが、市民の理解を判断材料にしたい」と話した。